2021年もあっという間に過ぎ去った印象です。2020年2月武漢発の新型コロナウイルスに2021年もすっかり振り回されてしまいましたね。
テレワークにWebリモート面会・ハイブリッド講演会はもはやニューノーマル。コロナ禍前の人海戦術という考え方は、一部の会社で根強く残っているものの、コロナ禍以降は「MRが回らなくても数字は変わらない」ことが判明してしまいました。
この流れはしばらくは変わらないでしょうし、人海戦術も元に戻ることはないと推測されます。正直製薬業界の未来は明るくありません。
薬価制度抜本改革によってジェネリックの国策化80%と地域フォーミューラリーの進展、新薬が生まれにくくなってきていること、コロナ禍で医療機関への訪問がままならない事で、製薬会社は愚か医薬品卸でも余力があるうちにと製薬会社と医薬品卸でも次々とリストラが断行されました。
一体2022年はどうなってしまうのでしょうか。2021年の製薬業界を振り返りながら2022年の業界について推測して参ります。
製薬業界に勤める全ての方がリストラのリスクを背負っていると言っても過言ではない
2021年末に実施されたアステラス製薬のリストラ(早期退職)はかなりエグかったと聞いております。
対象が入社5年以上の社員ということで、20代のMRや「聖域」と言われたオンコロジー領域MRにも「肩たたき」の手が伸びたと聞いております。
私も友人のMRに聞いたところ「今回のアステラスのリストラは本当にヤバかった。相当会社の未来がない、本当に路頭に迷うところだった」と仰ってました。
アステラスのリストラ人数は公表されておりませんが、1,700人近くいたMRガが半分近くになるとも言われており、2022年4月からもMRの給料体系も変更になるとのことで一世を風靡したアステラス製薬を知るアラフォー世代の私から見ても「相当ヤバい」という印象です。
2022年以降は今までよりももっと多くの製薬会社でリストラが断行されるでしょう。というのは2020年以降毎年薬価改定が行われることが決定的となり、新薬を出し続けない限り、ひたすら毎年薬価が下がり続けて、同時に売り上げも下がっていくことになります。
特にここ2.3年で主力品が特許切れを起こし、それを補填できる新薬が出ない会社は本当に継続が厳しくなると推測します。また近年リストラまではいかなくても福利厚生や給与体系にメスを入れている会社も危険です。
上記のような兆候がある会社で「あれ?うちの会社ヤバいのかな?」と感じた方は、今が活動の時です。
現在製薬業界にお勤めのほとんどの方がリストラ対策として転職サイトに登録されているかと思います。それでもまだされていない方は、2、3社登録して現在の自分の市場価値を第三者に判断してもらうべきです。
かといって「どの転職サイトに登録したら良いのかわからない」というのが皆様の悩みの種かと思います。私も現在複数社の転職サイトに登録しておりますが、最近各社MRの友人に聞いてみて登録が多いのが下記のサイトになります。
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もはやMRからMRへの転職はパイが少ないので難しいと考えた方が良いでしょう。なので製薬業界にお勤めの方は上記2社に登録しておくと良いかもしれません。
その他製薬会社の方向けおすすめ転職サイトを記事にしておりますので、ぜひ参考にしてみてください↓
医薬品卸に勤める全ての方もリストラ・再編のリスクが高まっている
「リストラは製薬会社での出来事」と思っている医薬品卸MSの方は多かったのではないでしょうか?しかし近年メディパルやスズケングループでもMSを中心とした大規模なリストラを断行致しました。
2018年JCHO談合問題以降、医薬品卸の収益は悪化の一途を辿っております。下記画像は医薬品卸各社の2021年3月期の決算状況です。
出典:answers newsより抜粋 https://answers.ten-navi.com/pharmanews/21165/
各社軒並み営業利益率が1%前後となっており、バイタルケーエーエスケー HDに至ってはマイナスとなっております。
国は国民医療費の増大に伴い、薬価の削減を続けておりますし、診療報酬も減り続けていくことから、医療機関も薬で利鞘を得ようと医薬品卸へ薬剤購入費を少しでも安くしようと躍起になっております。
製薬会社側も原材料費の高騰やコストカットなどで、医薬品卸への仕入価や販促費(アローワンス)なども減少傾向にある中、医薬品卸の経営状況も製薬会社同様、厳しいものになっていくことが予測されます。
どんな災害が来ても、またコロナ禍でも医療機関に薬を届けなければならないという社会的使命に大きなやりがいを感じている医薬品卸売業の方は少なくありません。実際にMS経験者の私もそうでした。
ただそんなやりがいにやる気を喪失させる出来事が起きてしまいました。それが複数の後発薬メーカーが法令違反で出荷停止になったことが発端となった「出荷調整問題」です。
その数3,000品目となってはいるものの、友人のMSに聞いたところ、全ての規格(mg数や包装)を含めると8,000品目近くに膨らむのでは?と仰ってました。
「たかが薬価400円の商品を1日中代替品を探しまくる」「散々探し回った結果、値段を安くしろと言われた」「代替品を見つけられなかったら取引をやめると脅された」など、やりがいを感じない日々が続くと嘆きます。しかもこれが少なくともあと2年以上続くとも言われております。
「医薬品卸としての将来性も危うい」「出荷調整の日々でやりがいも感じない」となると、「転職」が頭をよぎるかと思います。
MSとMRの両方を経験した私が感じるのは「MSの仕事量と給料は割に合わない」ということです。ただ医薬品の営業(売り)・医薬品購入金額の集金(回収)・配達(物流)の3つを経験しているスキルは非常に強いです。
この3つの経験はMRには出来ませんので、私は転職市場においてはMRよりもMSの方が確実に強いと思ってます。この3つのスキルを駆使して転職活動を行えば、年齢に関係なく確実にキャリアアップできます。
大手医薬品卸でもリストラを断行したのですから、営業利益の厳しい地方の医薬品卸にもリストラの危機は迫っていると言っても過言ではありません。
さらに最近では地方の医薬品卸での再編の動きもあります。2021年12月に長崎県の「宮崎温泉堂商店」とアルフレッサの業務提携のニュースが発表されました。
医薬品卸売業にお勤めの方は、地元出身者が多くいらっしゃいます。今回の発表は業務提携とはいえ、九州に弱いアルフレッサとしては最終的に合併に動くでしょう。そうなると、予期せぬ全国転勤にもなる可能性があります。
今後は営業利益率が厳しい地方の医薬品卸売業にとっては、今回の「宮崎温泉堂商店」のような大手医薬品卸からの合併・再編が増えてくるかもしれません。
その昔地方医薬品卸が大手医薬品卸に合併統合された際に「給料がかなり上がったよ〜」と喜んでいる方がおりましたが、やはりその方も遠くへ転勤されていきました。
リストラ・やりがい・合併と地方の医薬品卸にお勤めの方にとっては今後益々リスクが伴います。製薬会社同様、医薬品卸の方々も転職活動をされることをおすすめ致します。
では医薬品卸の方々はどの転職サイトに登録すると良いのか?ということですが、私がイチオシなのは誰もが知る「リクルートエージェント」です。
何を隠そう私が医薬品卸MSから製薬会社MRに転職した際に利用したのが「リクルートエージェント」でした。私は初めからMRを目指して転職活動をしていたので、MR職しか提案されませんでしたが、リクルートが運営しているだけあって求人数も業界屈指です。
地元の優良企業にも巡り合える可能性がありますし、何よりも担当者がすごく親身です。転職する気がなくてもいつ「リストラや再編の危機」が襲ってくるかわかりません。事前に登録しておくことをおすすめ致します。
20代の社員も油断大敵。転職を視野に入れた活動を
アステラス製薬のリストラ(早期退職)では20代の社員が肩たたきの受け目にあったと聞いております。
リストラを断行する多くの会社がリストラ条件として「45歳以上の社員」としている会社が多いのが現状です。なので現在20代のMRやMSの多くの方は「20代の自分達は大丈夫でしょ」と思っている方が大半かと思います。
ただアステラス製薬の事例を見る限り、2022年以降は「20代の社員」の方も安心してはいられません。
特に外資系では近年年齢に関係なく「即戦力」を中途採用します。年齢ではなくキャリアやパフォーマンスを評価しますので、20代から50代後半で入社している方も見受けられます。
そしてリストラ体験のある私がリストラの生現場を見た感じ、肩たたきされる方はやはり年齢に関係なく「パフォーマンスの低い方」です。
「会社が求めるパフォーマンス」を十分に発揮されている方なら良いのですが、「あれ?自分あまり上司や会社から評価されていないな」と思った20代の方は要注意です。
20代の方で「一生涯この会社で忠誠を尽くす」という方は少ないとお察し致しますが、「リストラは他人事」と思わない方が無難です。
ただ入社1・2年でさっさと見切りをつけてしまうのは大変危険です。転職活動で面接を受けても「きっとうちの会社に来てもすぐに辞めるんだろうな」と思われてしまうからです。
20代前半の方は、リストラのリスクはかなり低いと思いますので、今後転職を考えているならまずは「4年は同じ会社で頑張ってみましょう」というのが私の答えです。
4年以上勤めれば会社である程度の経験が積めますし、忍耐力も付きます。20代前半の方はここが耐え時です。
逆に20代中盤から後半にかけての社員の方にはリストラのリスクが高まっておりますので、4年以上のスキルと若さを武器に転職活動を視野に入れるべきです。
まずは転職サイトに登録して、現在の自分の市場価値を客観的に把握するべきです。現在転職する気がなくてもリストラというものはある日突然自分の身に降りかかって参りますので、下準備が必要となります。
20代の転職には「マイナビエージェント」がおすすめです。「マイナビエージェント」は特に20代30代の若い世代のMR転職に力を入れておりますので、登録する価値はあるかと思います↓
MR・MSはオワコン? 営業経験しかないのはリストラ要員になる可能性大
リストラの生現場を経験した私の感覚ではリストラ断行時に「リストラ要員」になってしまう方のほとんどが、「パフォーマンスの低い方」や「営業経験しかない方」です。
特に「営業経験しかない方」、MR/MSの経験しかない方はどんなに優秀でも「リストラ要員」となってしまう可能性大です。
その理由は「同じ仕事の繰り返しで変化に順応できないから」と会社から見做されるからです。という意味でも同じエリアに何十年もい続けている方はもっと危険です。
なので私が当ブログで口を酸っぱくして申し上げて来たのが「他部署に異動願い」を出すことです。営業以外の部署を経験している方は、転職にもかなり有利だからです。
私もこれまで4回の転職歴があり、キャリアとしてはMS・内資外資MR・本社営業部門を経験しましたが、正直かなり「潰しが効く」と感じております。
MRもMSも絶対に必要な仕事なので残りはしますが、両者ともに年々数が減少していることからも「オワコン感」は否めません。
私の身の回りのMRの方では最近「MRは今後続かない」と判断し、20代後半や30代前半の早い段階でMRから本社部門へ異動願いを出してキャリアアップを果たしている方が多くいらっしゃいます。
その方々は「MRはオワコン」というよりかは「キャリアアップ」を考えての異動願いでしたが、頭の根底には「リストラ対策」というのがあったとお察し致します。
もはや「営業職だけを極めたい」というのは時代錯誤だと認識しましょう。
皆様の中には営業職以外にも興味のある部署が必ず数カ所はあるはずです。今から「営業職以外の他部署を経験しておく」ことはキャリアアップする上でも転職する上でも非常に有利です。
2022年早々に他部署への異動願いを出すことをリストラ対策の選択肢の一つとして考えてみましょう。
他人にはない強み(スキルや資格)を持っていますか?
皆様には他人にはない強みがありますか?
という私も資格を保有しているのか?という話ですが、「ファイナンシャルプランニング3級」「メンタルヘルスマネジメント検定3級」「サービス接遇検定」など、自分自身の将来やキャリアに活かせそうな資格を取得して参りました。
この保有している資格については転職面接の際にしっかりと聞かれました。「なぜ取得したのか?」「この資格をどのようにして組織に生かしてきたのか?」など、ただの資格ホルダーではなく、しっかりと理由を説明できて、それを武器にできるのであれば取得するに越したことはありません。
資格取得は転職やキャリアアップの際、大きな強み(武器)になります。ではどのような資格が強いか?ということなのですが、少なくとも私は上記3資格は有利に働いていると思っております。
特に製薬会社社員の方は、コロナ禍でテレワークが進み、以前にもまして「自由時間」が増えていることとお察し致します。ぜひその自由時間を迫り来る「リストラ」のために有効活用しましょう。
私が取得した3資格について記事を書いていますので、ぜひ参考に頂けますと幸いです↓
【2021年の製薬業界を振り返る】2022年製薬会社と医薬品卸もリストラ・再編が続くのか?まとめ
毎年恒例となった「その年度の振り返り」も4回目となりました。
年々製薬業界を取り巻く環境は本当に激変しており、刻々と悪い方向に行っている感じが否めません。
私は可能な限り人々の健康に貢献出来て、世間一般と比べて福利厚生も給与水準も高い、製薬業界に貢献していきたいと考えておりますし、皆様も同様にお考えのことと存じます。
ただ2022年以降もこの製薬業界で貢献し続けるためには、自ら身を守るために行動を起こさなければいけません。それが上記でご紹介した、
●転職活動を開始する・ご自身の市場価値を知る
●強みを作る
●他部署での経験
これに尽きます。
一人でも多くの方が、2022年以降もこの製薬業界で貢献し続けることを祈念しております。この製薬業界に勤める方一人ひとりがリストラの危機に瀕していると考え、危機感を持ち続けましょう。
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