2021年10月、大手外資系製薬会社「アストラゼネカ」が早期退職を行うことが判明致しました。
直近を見ても「新型コロナウイルスワクチン」、そして近い将来を見ても適応拡大や新製品の発売などが控えている「アストラゼネカ」
公にはなっていないものの、「アストラゼネカ」は過去にもリストラを断行しております。
今の製薬業界を見渡しても決してパイプラインも先細り感はなく、将来性もあると思われる「アストラゼネカ」でなぜ早期退職が行われるのでしょうか。今後の全てのMRのリストラ対策を踏まえた上で検証して参ります。
「アストラゼネカ」の製品群は決して悪くない。むしろMRにとって魅力的
IQVIAという会社が発表している国内医薬品市場統計売上データによると「アストラゼネカ」は販促会社レベルで見た時に2020年国内売上第四位の大手製薬会社です。
https://www.iqvia.com/-/media/iqvia/pdfs/japan/topline-market-data/2020/toplinedata_fy_2020.pdf
また2020年の国内医薬品売上上位10品目にタグリッソ(薬価ベース:950億円)とネキシウム(薬価ベース:931億円)がそれぞれ五位と六位にランクインしております。
また将来性に目を移してみますと、そのパイプラインの多さに「なぜこのタイミングでリストラ?」と思うくらい驚きを感じます。
フェーズⅢを見ても多くの新有効成分含有医薬品や剤形追加。適応症拡大が控えており、2022年には10品目近くが新発売、もしくは適応追加になるのではというラインナップです。
現在プライマリー主体の製薬会社でMRをしている方にとっては、魅力的に映る製品パイプラインといっても過言ではありません。
2021年「アストラゼネカ」の早期退職(リストラ)の条件
様々な医薬業界紙から得た、アストラゼネカが2021年10月に発表した早期退職(リストラ)の条件は以下の通りです。
●対象者:勤続3年以上のMR職に従事する社員
●年齢制限:2022年3月末日時点で45歳以上の上記社員
●募集期間:2021年10月末
●退職日:2022年3月末日
●募集人数:約50名
●優遇措置:特別退職一時金を支給(最大36カ月分)、再就職支援
今回リストラに至った要因として、主力の抗潰瘍薬ネキシウムが2022年に特許切れを迎え、後発品が参入すること。また19年12月に後発品が参入した喘息薬シムビコートの減収影響が大きい模様。
一方で、コロナ禍でMRの活動量が低下したにもかかわらず、抗がん剤タグリッソやSGLT2阻害薬フォシーガ、高カリウム血症改善薬ロケルマなどの主力品は好調にシェアを伸ばしたことで、今以上にMRが必要ではないことがわかったことが考えられます。
今回リストラに至った要因として一番大きのが現在売上931億円もあり、2022年に特許切れを迎える「ネキシウム」が最大の要因でしょう。
もはやジェネリックが出た瞬間に8割が替わってしまう時代ですから、パイプラインがある「アストラゼネカ」と言えども相当な損失になることが予測されます。
今回のリストラは「ネキシウム」にジェネリックが出て酷くなる前の対策と考えられます。
「アストラゼネカ」に限らず、「ネキシウム」のような大型製品が会社の屋台骨となっている製薬会社では、今後リストラを断行する可能性が滝と思ってもらっても良いでしょう。
「ネクストステップキャリアサポートプログラム」に頼ってはいけない 自ら転職サイトに登録するべき
2021年10月に発表されたアストラゼネカのリストラでは再就職支援を行うとされております。どこのリストラを行う会社でも必ずといって良いほど再就職支援制度はありますが、それに頼っては行けないというのが私の体験談から言えることです。
私は過去に自分自身がリストラの現場に遭遇致しました。実際に上司から面接も受けました。そして周りには「やめます」と言うまでひたすら面接を繰り返す先輩を見ました。
その先輩が「再就職支援制度」を活用して、理想の再就職に着いたかというとほとんどの方が「決まらない」もしくは「理想の再就職に就けなかった」というのが私の身の回りの方々でした。
再就職支援といっても第三者機関が支援を行うので、親身ではありません。その担当の方の熱量にもよるのかもしれませんが、万一再就職することになったとしても再就職は自らの手で掴み取るべきです。
そのためには今のうちからご自身で転職サイトに登録しておくべきです。
「今更転職サイト?このご時世で登録していない人なんていないでしょ?」と思われますが、いざリストラに遭遇した時に「まさか自分がリストラの憂き目に合うとは思わなかった」と思う方が大半で、意外と「自分は大丈夫!」と転職サイトに登録していないという方はまだまだいらっしゃいます。
2021年「アストラゼネカ」のリストラは45歳以上が対象となってますが、45歳未満の方でも、また他社製薬会社の方でも他人事と思ってはいけません。
パイプライン豊富なアストラゼネカでもリストラを断行するのですから、このご時世「全ての製薬会社でリストラを断行する可能性がある」と思った方が良いです。
いざリストラが断行された時には会社は皆様の将来の面倒は見てくれません。ご自身の未来は「再就職支援」に頼るのではなく、自らの手で掴み取るべきです。
そのためにはいくつかの転職サイトに登録するべきです。ではどの転職サイトに登録するべきか?ですが、もはやMRだけでは求人がほぼ皆無の時代ですから、MRの経験を生かして他業種を探すのがベストです。
製薬会社MR向けの転職サイトを下記に記載致します。ぜひ複数社登録して各社のエージェントから様々な角度からの意見をもらって今のうちにご自身の市場価値を評価してみておくと良いでしょう。
●サイト側から求人情報が来る「リクナビNEXT」
●外資系製薬会社の求人が多いのが「JACリクルートメント」MR以外にも医療機器メーカーの求人も多い
●MRの給与体系を変えたくないハイクラスな求人が多い「リクルートダイレクトスカウト」
●20代30代のMRの求人を強化しているのが「マイナビエージェント」
製薬会社MR向けの転職サイト・転職エージェントについて、詳しくはこちらの記事で紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみてください!↓↓
45歳未満のMRも油断大敵。MRだけのキャリアではどんなに優秀でもリストラ要因の理由とは?
2021年のアストラゼネカのリストラは45歳以上の社員が対象ですが、「自分は45歳未満だから大丈夫!」と思うのは大間違いです。
また今回のアストラゼネカのリストラの対象者は「勤続3年以上かつ45歳以上のMR約400人」となってます。つまり「管理職になれない、もしくは管理職を目指さない45歳以上の方はいらない」と同義です。
コロナ禍でほとんどの薬剤が「MRが訪問しなくても売れる」とわかった今、「40歳以上でMRの経験しかない」というのは、これからご自身の会社でリストラが断行された場合、リストラ候補筆頭と言っても良いでしょう。
また少し前ならスペシャリティやオンコロジー領域の経験があればどこでも転職できる、なんてことも言われましたが、今では「MRの経験だけしかない」ということで、領域の経験も通用しなくなりました。
今後製薬業界で定年まで勤め上げるつもりなら「MRの経験しかない」方は、管理職を目指すか他部署へ異動願いを出すことを早期におすすめ致します。
45歳以上MRの行く末は? 気がついたらリストラ要因にならないためには?
昨今製薬業界のリストラの嵐で、対象となる割合の高い45歳以上のMR経験者が市場に溢れかえっております。
さらに高給取りのMRには、同じくらいの年収が用意できる職種もなかなかないというのが現状です。ではいざいリストラが断行された時に「リストラ要因」にならないために、今すぐするべきことは何でしょうか。
上記にもご紹介致しましたが、それは
①今すぐ他部署への異動届を出す
②管理職を目指すことを明確にする・上司に宣言する
③手に職をつける(資格を取る)
製薬会社で働き続ける、いざという時にリストラ要因にならない為に今すぐ実行するべきことは、上記3点だということは私の転職とリストラ体験から言えることです。
「他部署への異動や管理職を目指すと転勤することになる」と仰る方がおります。今後製薬会社で働き続けるには、そのような考え方は捨てた方が良いです。
最近の転職事情を見た時に圧倒的に「勤務地」を考慮される方が増えてきております。それは転職市場の年齢が高齢化し、家族の事情が絡む方が多いためと推測しますが、「転勤・転職=引っ越し」という考え方を捨てなければ、数少ない製薬会社の椅子をゲットできません。
どうしてもご家庭の事情で引っ越しが出来ないという事であれば、他業種を目指すしかないというのが現状です。
また②管理職を目指すことを明確にする・上司に宣言する、という事ですが、今回のアストラゼネカのリストラが「45歳で管理職になっていないMRはいらない」と言っていることからも、「上を目指さない向上心のない方は去ってもらいたい」というのが魂胆です。
私もリストラを経験した直後「ずっとMRで良いです、と言う向上心のないMRは今後必要ない」とはっきりと言われました。今後リストラを断行する会社は「管理職を目指さないMR」をリストラ要因にするでしょう。
コロナ禍で雇用があるだけまだマシなのかもしれませんが、やるからには今後は上を目指しましょう。
2021年アストラゼネカが早期退職断行!適応追加や新製品豊富な会社がなぜリストラを?まとめ
現在製薬会社に勤めているのなら、どんな将来有望な会社にお勤めの方でも全ての方が「リストラのリスクがある」と思った方が良いでしょう。
パイプライン豊富な「アストラゼネカ」でさえリストラを断行する時代ですから、プライマリー主体の製薬会社やパイプラインが先細りの製薬会社はよりリストラのリスクが高いと言って良いでしょう。
ただそれでも高給取りかつ福利厚生も良い製薬会社で働き続けたいですよね。今後どの会社でも起こり得るリストラを乗り切るために、私が経験したリストラ体験をまとめてます↓
リストラ面接を耐え切ることも一つの手段です。ぜひ今後のリストラ対策として当ブログの私の体験談をお役立てください。
コメント
アストラゼネカ社員です。
アストラゼネカでは、4~5年ほど前に管理職のリストラがありました。退職金上乗せの条件もありましたが、部下の信頼も厚く、辞めたくないのに退職勧奨をされ泣く泣く会社を去った方々がおりました。
これは、DM、いわゆる所長、課長クラスだけではなく、支店長も同様でした。
私がみる限り、実力がある方々が多かったのも事実です。
岩手の赤鬼様、コメントありがとうございます。当時そのような噂がありましたね。私の周りでも泣く泣く退職を余儀なくされた方がいらっしゃいました。結局憂き目に会うのは管理職なんですよね。そうなる前にキャリアと資産を形成しておく必要性を最近は強く感じます。