ノバルティスファーマがオンコロジー事業部門のみを対象とした人員削減、つまりリストラ(早期退職)を断行したとのニュースが医薬品業界紙の「日刊薬業」で発表されました。
ノバルティスファーマと言えばプライマリー領域のリストラ(早期退職)を過去幾度かに渡り実施をしており、その内容についても以前記事を書かせて頂きました。
今までノバルティスファーマのオンコロジー事業部門は常に無風、「聖域」と言われておりました。これはどこの会社も同じでオンコロジー領域やスペシャリティ領域部門はリストラなど、どこ吹く風でした。
しかし今回のノバルティスファーマのリストラ(早期退職)はもはや「聖域なし!」と言っているも同然です。
ノバルティスファーマのリストラ(早期退職)から見るオンコロジー領域とスペシャリティ領域の今後について考えて参ります。
ノバルティスファーマの早期退職(リストラ)の概要
日刊薬業によるとノバルティス ファーマオンコロジー事業部門のリストラ(早期退職)の概要は未開示となっております。
前回ノバルティスファーマがプライマリー領域のリストラ(早期退職)を断行した際の条件として「オンコロジー領域を除く年齢45歳以上勤続5年以上」としてました。
ノバルティスファーマのオンコロジー事業部門は内勤者とMR含めて800人の大部隊であり、かつ中途採用者やプライマリー領域と比べて若いMRも多いことから、今回の募集要項は「年齢40歳以上で入社歴は問わない」かな?と予測します。
またMR間の噂ではリストラ(早期退職)の募集は3月2日から既に始まっており、この記事を書いている3月24日現在で既に募集が終了。それなりの人数が応募したことも予測されます。
その事は口コミサイトのopen workでもすでに一部始終が掲載されておりました↓
実際にどれくらいの人数の方が応募したのか?今後の経過を見守りたいと思います。
ノバルティス ファーマオンコロジーの将来性は?
製薬業界の中でも将来安泰と言われ、「MRの聖域」とまで言われた「オンコロジー事業部門」でのリストラ発表。そのノバルティス ファーマは革新的な新薬を出し続けております。
昨年発売された『再発難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病』と『びまん性大細胞型B細胞リンパ腫』治療薬で、国内初となるキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法「キムリア」は一症例3,350万円するという事で話題に上がった製品です。
しかし「キムリア」は実際オンコロジーMRの担当品目では有りません。実際のオンコロジー事業部門の品目に目を移してみます。
ノバルティス ファーマの売り上げ全体の半分を締めるのが「グリベック」「タシグナ」「レボレード」「アフィニトール」の四つの製品。このオンコロジー4製品の2018年度の日本での売り上げを見てみると、
「グリベック」232億円
「タシグナ」207億円
「レボレード」190億円
「アフィニトール」116億円
となっております。※ノバルティスファーマ ホームページ参照↓
また日本製薬工業協会の開発中の新薬一覧に目を移してみますと、ノバルティスファーマは非小細胞肺癌の「カプマチニブ」やBRAF遺伝子変異陽性悪性黒色腫の「スパルタリマブ」など多くのパイプラインを有しております。
他社にはない豊富なパイプラインを有していてもリストラを断行しなければいけない理由としては、ノバルティス ファーマオンコロジー事業部門の組織が大きくなりすぎてしまった事が要因の一つにあります。
また二つ目の要因としては、昨今の医薬品業界を取り巻く環境の激変、薬価の大幅引き下げ、新薬創出加算品の減少、ジェネリック医薬品の普及、そしてMR不要論、などの市場環境の変化が背景にあります。
パイプライン豊富なノバルティスファーマでさえ、環境の変化には勝てないということを物語っており、今後パイプラインが気弱な製薬会社は、より一層スリム化が進むと考えられます。
もはや聖域ではない!オンコロジー&スペシャリティ専任MRの未来は?
今回のノバルティスファーマ オンコロジー 事業部門のリストラ(早期退職)を他人事ではないと感じたMRの方は少なくないと思います。
このニュースが流れるまでは「自分たちは聖域のオンコロジーやスペシャリティ経験MRだから将来安泰」だと思っていたはずです。
それがノバルティスファーマオンコロジー事業部門のみを対象としたリストラ(早期退職)断行によって「オンコロジーやスペシャリティ経験があっても安泰ではない時代がきた」ということを自覚したのではないでしょうか?
2019年には同じオンコロジー領域を含むリストラが外資系のファイザーやMSD、中外製薬で断行されました。
私の知るオンコロジー経験MRもリストラ(早期退職)に早々に応募し、自信満々で他社への転職活動を開始致しましたが、書類審査すら通らない・・ 求人があっても希望していないCSO(コントラクトMR)の求人のみ・・
挙げ句の果てには、退職日までに次の転職先が決まらずに路頭に迷ってしまった・・オンコロジー やスペシャリティ経験MRでも今はこんな事態が発生しているのです。
そうなっている背景には、
①すでにオンコロジーやスペシャリティ経験者が市場にダブついている
②受け皿となる製薬会社がない。MR市場は縮小傾向にあり求人が極端に少ない
ということが挙げられます。もはやオンコロジーやスペシャリティの経験があっても市場のニーズがないということです。もはやプライマリーとオンコロジー ・スペシャリティMRの区別はありません。
では現在オンコロジーやスペシャリティのMRは、今後どのようなキャリアを歩めば良いのでしょうか?
それは当ブログでも再三申し上げておりますが、高給取りで有給も取得しやすく自由が効く製薬会社での勤務を続けたいのであれば、MR以外の部署を経験することです。
製薬会社でMR以外の部署を経験することが今後製薬会社で生き残っていく唯一の道と言っても過言ではありません。私がそう言い切るのには理由があります。
私は今まで4回転職して参りましたが、その内2回は営業関連の本社勤務を経験致しました。
MRと本社勤務を経験したキャリアは転職市場では重宝されます。私は実際に複数の転職サイトに今でも登録しておりますが、常に求人が舞い込んで参ります。
また他社知り合いの管理職の方に話を伺っても「マーケティングの経験があるだけで、求人の数が全然違う」とも仰ってました。
新型コロナの影響もあり、今後MR不要論は益々加速するでしょう。会社に異動希望願いがあるのであれば、すぐにでも他部署への異動希望を出して、新たなキャリアを形成されることをおすすめ致します!
転職する気がなくても「転職サイト」には登録するべし!
これも再三当ブログで申し上げておりますが、転職する気があってもなくても転職サイトには常に登録しておくべきです。再三申し上げるのには理由があります。
私は4回の転職経験もありますが、リストラ(早期退職)の生の現場も経験致しました。特別退職金に目が眩み手上げした方、残念ながら肩叩きにあってしまって手を上げざるを得なかった無念の方、を見て参りました。
そんな方々でも「どうせいつかは再就職できるだろう」と転職サイトにも登録せずに、会社に言われるがまま「再就職支援」に便乗したところ、なかなか再就職先が決まらない・・
そんな無防備な多くの方を見てなんとも言えない辛い思いをしたから、ここまでしつこく「転職する気があってもなくても転職サイトに登録するべき!」と言わせてもらうのです。
転職サイト・エージェントの登録は簡単です。学歴や職務経歴などの必要事項を入力するとアドバイザーとの面接や、求人情報がメールで着ます。その時に今の自分の市場価値がどのくらいあるのか、がよく分かります。
ですので、今すぐ転職する気がない方でも今後くるべきリストラ(早期退職)に備えて、対策を講じることも出来ます。MRとして素晴らしい業績を残してきた方も、一度真摯な気持ちで第三者の意見を聞いてみてはいかがでしょうか?
「まだ転職サイトに登録していない」「どの転職サイトに登録して良いのかわからない」という方のために、製薬会社MR向けの転職サイト・転職エージェントを下記にご紹介致します。
●製薬会社の求人が割と多いのが「リクナビNEXT」
●外資系の求人が多いのが「JACリクルートメント」
●自分の市場価値を見出すことが出来るのが「ミイダス」
●MRの給与体系を変えたくないハイクラスな求人が多い「リクルートダイレクトスカウト」
製薬会社MR向けの転職サイト・転職エージェントについて、詳しくはこちらの記事で紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみてください!↓↓
色々な第三者の意見を取り入れるためにも複数社の転職サイト・エージェントに登録することをおすすめ致します!
ノバルティス オンコロジー 人員削減!「聖域」オンコでもリストラの時代へ!まとめ
つい最近まで「プライマリー領域担当だけではMRとして生き残れない。今後はオンコロジーやスペシャリティの経験があれば食いっぱぐれない」と言われておりました。
しかしパイプラインも豊富なノバルティスファーマオンコロジー事業部門がリストラ(早期退職)を断行したことによってその「神話」が崩壊致しました。
リストラ(早期退職)の影響を受けない「聖域」とまで言われたオンコロジー・スペシャリティ経験MRはもはやプライマリー領域担当MRや基幹病院・大学病院経験MRと全く同じ扱い、と言っても過言ではない状況となりました。
それだけ医薬品市場を取り巻く環境の変化が激しいことと厳しいことを物語っている一つの事例と言っても良いでしょう。上記でご紹介致しました「今からできる対策」を気が付いた今から即実行に移しましょう!
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