国内中堅製薬会社「協和発酵キリン」でリストラを実施するとのニュースが発表されました。
そしてこの記事を書いている矢先に、国内中堅製薬会社である「鳥居薬品」からもリストラ(早期退職)がプレスリリースされました。
2017年末に発表された薬価制度抜本改革による、新薬創出加算の見直しによる薬価の大幅引き下げ、ジェネリックの国策化80%、そして最近では地域フォーミュラリーが進んで来ており、製薬業界を取り巻く環境は一変致しました。2018年4月以降は製薬会社各社からリストラ(早期退職)が相次いで発表されました。
サノフィ、MSD、大正製薬、アステラス製薬、エーザイ、日本ベーリンガーインゲルハイム、ノボノルディスク ファーマ、ノバルティスファーマなど多くの会社がリストラを断行致しました。そしてついに今回、国内中堅メーカーである協和発酵キリン、そして鳥居薬品でもリストラ(早期退職)を発表致しました。
私の印象ですと、国内中堅メーカーはリストラはせずに社員の雇用を守る、雇用を守る代わりに福利厚生や賞与などの人件費をカットする、といった策を講じている印象が有りました。しかしそんな「雇用を守ってくれる」という安心感は、今回の協和発酵キリンと鳥居薬品のリストラ(早期退職)発表によってすっ飛んでしまいました。特に協和発酵キリンと鳥居薬品はひときわ「社員に優しい」イメージが有りましたので、今回の発表は業界関係者に与えるショックは相当大きいものが有ります。
では今後益々加速するリストラ(早期退職)について、現役MRの方はどのような策を講じれば良いのでしょうか?今回の協和発酵キリンと鳥居薬品の事例を元に考えて参ります。
協和発酵キリンと鳥居薬品のリストラ(早期退職)の条件
今回協和発酵キリンでの募集条件は「2019 年 4 月 1 日現在、在籍する45歳以上かつ勤続 5 年以上の社員で、2019年2月5日時点で生産本部に所属する社員を除く」となっております。募集期間は、2019年3月11日~2019年3月28日までで、退職日が2019年6月30日となっております。
一方の鳥居薬品の募集条件は、「コーポレート部門、営業部門は 2019年4月1日時点で勤続年数が満 2 年以上の社員、技術部門は2019年4月1日時点で勤続年数が満 2 年以上かつ2020年3月末日時点で 年齢が 50 歳以上に達している社員(製造・物流部門を除く)」となっております。募集期間が2019年4月15 日〜2019年5月31日までで、退職日が2019年9月30日となっております。
募集条件で見ると、鳥居薬品の方がかなり厳しい条件となっております。特に鳥居薬品は対象が営業部門、つまり2年目以上のMRからとなっており、若手からベテランまで大変厳しい交渉となることは間違い有りません。今回鳥居薬品では「特別転身支援制度」と早期退職や希望退職などという表現を使っておりませんが、これは立派なリストラです。
早期退職(リストラ)はあくまでも自己判断による「手上げ制」と言っておりますが、実際には会社が既に「①絶対に残ってほしい人②手上げしたら容認する人③絶対に辞めてほしい人」とリストラが発表された時点で既に会社の上層部で半年ほど前から分類されているのが実情です。実際に募集期間前までに上長や人事部との面接が行われますが、その現場は壮絶そのものです。実情は自己判断による手上げとはかけ離れたものとなっております。
リストラ(早期退職)の実際の現場の状況についての記事を書いてますので、こちらをぜひご覧ください!
協和発酵キリンと鳥居薬品のパイプラインは?将来性は?
では製薬会社の将来性を示す指標の一つである「パイプライン」はどうでしょうか?まずは協和発酵キリンのパイプラインを日本製薬工業協会のホームページで確認して参りましょう。
パイプラインは豊富に見えるかもしれませんが、ほとんどがフェーズⅠ、もしくはⅡとなっております。これが将来必ずしも発売できるとは現時点では分かりません。
また2018年4月の薬価改定では最主力品の腎貧血治療薬「ネスプ」の薬価引き下げや、高血圧症治療薬「コニール」、抗アレルギー薬「アレロック」、潰瘍性大腸炎治療薬「アサコール」、抗てんかん薬「デパケン」などが後発医薬品の浸透が近年のジェネリック国策化でさらに進んでおります。また糖尿病治療薬でDPP-4阻害薬「オングリザ」、持続型G-CSF製剤「ジーラスタ」、パーキンソン病治療薬「ノウリアスト」があるものの、思ったような売り上げを確保出来ておりません。このような状況と今後数年間の見通しを考え、今回のリストラにつながったと推測致します。
また今回の協和発酵キリンのリストラ(早期退職)の最大の理由は2019年夏に2018年度に537億円を売り上げた「ネスプ」にジェネリック、バイオシミラーが発売されることと言われております。協和発酵キリンの子会社の協和キリンフロンティアが「ネスプ」のAG(オーソライズド・ジェネリック)を発売することが発表されておりますが、自社で出すとは言え、先行品の薬価の70%の値段になってしまいますので、売り上げ減は免れません。
一方の鳥居薬品の「パイプライン」はいかがでしょうか? こちらは日本製薬工業協会のホームページでは、現在一品も出ておりません。鳥居薬品は今まで抗HIV薬群やアレルゲン免疫療法薬「シダトレンスギ花粉舌下液」が好調ではありましたが、最主力品で透析に伴う掻痒改善薬「レミッチ」が2018年6月に後発品が参入した影響が大きく、
そして今回の一番のリストラ要因となったのは冒頭のミクス記事にもございますが、抗HIV薬のギリアドへの返還です。これにより現在いる500人のMRを300人体制にすることが発表されました。さらに鳥居薬品の場合は、2020年4月以降の新卒採用も休止するとのことですので、事態はかなり深刻かと思われます。
現役MRの方は今すぐに転職サイトに登録を!
今回の今日は協和発酵キリンと鳥居薬品のリストラは、また募集期間まで少し猶予が有ります。両社とも再就職支援を行うとしておりますが、私の経験上、正直あてにしないほうが良いでしょう。私が側から見た感じ、ご自身で転職活動をされた方が、はるかに良い求人に巡り会えてます。
会社の転職支援に頼るよりも、今この時点で今すぐに転職サイトに登録することを強くおすすめ致します。それも複数登録することをおすすめ致します。複数登録するメリットとしては、「複数のエージェントから多方面なご意見や企業を紹介してもらえる」ということが有ります。
また今回のリストラ対象では無い方も、明日は我が身です。昨年リストラを行った日本ベーリンガーインゲルハイムのリストラでは対象が「30歳以上入社1年以上」の方が対象でした。そして今回の鳥居薬品のリストラも入社2年目以上のMRが対象となっております。最近の製薬会社のリストラは45歳以上が対象となることが多いですが、今どの製薬会社も今回の鳥居薬品や日本ベーリンガーインゲルハイムのような「若い方が対象」となる可能性は高いと言えます。ですので若い方でも転職サイトに登録して、備えをしておくことを強くおすすめ致します。
ただ実際に転職サイトはかなりの数が存在し、どれに登録して良いのかみなさん悩みかねると思います。製薬会社MRにおすすめする転職サイトについては、以前記事を書いてますので、ぜひこちらを参考にして頂ければ幸いです。
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MRの経験しかない方は、他部署への異動願いを!
リストラ(早期退職)を勧告された方、そして条件外(年齢が若い)の方は、今後MR業だけの経験ですと、確実に淘汰されていくことは間違いない時代に突入致しました。正直MR業だけの経験しかない方は、今後リストラの標的にされることは間違い有りません。転職業界では色々な部署のご経験がある方を重宝しております。それは環境の変化があった時に、経験豊富な方の方が変化に柔軟に対応できるからです。
MRの経験しかなく、しかも同じエリアを持ち続けている方は、いざリストラの標的に合い、転職活動を余儀なくされた時には、「変化に対応出来ない方」とのレッテルを貼られて転職が出来ない可能性すらあるのです。
そうならない為にも、リストラが発表される前の今のうちに他部署への異動願いを出しましょう。他部署と言っても多岐に渡りますが、MR以外の営業職でも転職市場では重宝されます。MSL(メディカルサイエンスリエゾン)や特約店担当者、研修部など多岐に渡ります。これらの経験があるだけでも転職の際の求人数にはMR経験しかない方と比べると、明らかに大きな差が出ます。
MR以外の知識習得に努める!
あとは引き出しを多く持っておくことも転職には有利に働きます。ただしむやみやたらに資格を取得される方がおりますが、それがご自身のスキルや組織に与える影響について、何も役に立って居合のなら、それは無意味です。その取得した資格について面接の際にきちんと説明できれば問題は有りません。
製薬会社MRに必要な資格についても記事を書いてますので、ぜひ参考にして頂ければ幸いです。
組織の発展について活かせる資格を持っているのと持っていないのとでは、転職活動の際に大きな差が出ます。今すぐスキマ時間を活用して自己研鑽に努めましょう!
今すぐ行動を起こすかが、今後の路頭に迷わない生命線です!
今まで記事をご覧頂き、「自分は十分実績を残しているので大丈夫!」「自分は買い手市場の人間」と思っている方もいらっしゃるかと思います。しかし現在の製薬業界を取り巻く環境を考えても、「実績を上げれれるMR」が今後会社にとって必ずしも「必要な人間」ではありません。
製薬業界の厳しい環境の中では、個人プレーよりも組織を束ねる力や経験十分なキャパシティ、変化への対応力が求められます。たとえ「実績十分」でもMRの経験しかない方は、今後どの会社でも起こり得るリストラの対象になることは十分に考えられます。
どの製薬会社でも起こり得るリストラ(早期退職)へ対応するには、20代の若い方でも備えをしておくことは大切です。上記にご紹介致しました「転職サイトへ登録する」「他部署での仕事を経験をしておく」「スキマ時間を使ってMR以外の知識・スキルを習得する」ということを、気が付いた今すぐにでも実行に移すべきです。
ここで行動するかしないかで、いざという時に大きな備えとなることは間違いありません。繰り返しで大変恐縮ですが、私はいざリストラ(早期退職)が断行され、なんの備えもしていなかったため、路頭に迷う多くの先輩を見て参りました。多くの方はご家族もいらっっしゃいます。ご自身、そして愛するご家族を路頭に迷わせないためにも、上記でご紹介した「備え」を、今すぐ行動に移しましょう!
協和発酵キリンと鳥居薬品でリストラ発表!国内中堅メーカーにも早期退職の波が押し寄せる! まとめ
社員に優しいイメージのある国内中堅製薬会社による相次ぐリストラが発表されました。つど記事で述べてきましたが、不況に影響されない業界「製薬会社」はもう過去の話です。また今はリストラ(早期退職)を断行したことがないけど、今後どの製薬会社に勤めていたとしても将来が安泰ということはない!ということに、今回の協和発酵キリンと鳥居薬品のリストラで思い知らされたかと思います。
まだリストラが発表されていない製薬会社にお勤めの方でも、いざという時のための備えは必要です。いざリストラ(早期退職)が発表され、路頭に迷うことが無いように、今のうちからできる備え(転職サイトに登録する、今のうちに他部署に異動願いを出す、自身のスキルや組織に影響を与える資格を取得する)は必ずしておきましょう!
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コメント
ケルベロ様
ホームページ、いつも楽しく拝見しています。
おっしゃるように、とうとうリストラが、中堅メーカーまで進んだことに驚きです。
逆にこの規模の会社でリストラが進むと、他の中堅メーカーがどういう動きを見せるのか
見ものです。
あと、ノボの取引卸削減には驚きました。当初8社の名前が出ていて、6社になったということで、メディセオが減ったのかと思いましたが、そうではないことにびっくりです。
個人的には、バイタルケーエスケーHDでも、バイタルネット:取引、ケーエスケー:取引中止となるので、バイタルケーエスケーHDがどう動くのか見ものです。
kio様
コメントありがとうございます。
またいつも当ブログをご覧くださいまして、ありがとうございます。
私も正直社員に優しい中堅メーカーが相次いでリストラを発表したことに
驚きを感じております。
また外資系を中心に卸の絞り込みも今後進んでいくと感じております。
私は過去にリストラによって多くの方が、路頭に迷うのを見て参りました。
一人でも多くの方が路頭に迷う前に、何かできる対策はある!と考え、
私なりのノウハウをご提供したく、当ブログを立ち上げました。
今後もみなさまの一助になる内容をご提供出来れば幸いと存じます。
ケルベロ様
お返事ありがとうございます。
以前はMR免許を持っていれば、くいっぱぐれないといわれていましたが、
今はCSOでも40歳のラインが出てきているので、いざという時の備えは重要だと思います。
(逆に、内資のリストラなどで、年齢が高い条件のものも出ていますが、そういう人がどこに行ったのかが気になります。)
kio様
今はMR認定証は、紙切れ同然になってしまいました。
MR認定試験以外にも、ご自身のスキル向上や組織へ大きな影響を与える資格の取得が
重要になってくるかと思います。転職サイトへの登録以外にも、これも備えの一つだと考えております。