2018年12月3日(月)の医薬品業界紙「RISFAX」(リスファックス)にて、ノバルティスファーマが早期退職(リストラ)を計画していることが掲載されておりました。
今回発表されたノバルティスファーマのリストラは、対象が「オンコロジー領域を覗く年齢45歳以上勤続5年以上」となっており人数は「数百名程度」を予定しているそうです。病院の廊下で同社の社員から耳に致しましたが、最初は対象の管理職層、その後組合の了解が得られれば、対象の組合員も早期退職(リストラ)が行われる可能性が高いとのことです。また同社は「転身支援」を行うことも同時に発表しており、製薬業界以外へのキャリアチェンジも支援するようです。2019年3月の時点で多くの管理職が応募したと見られ、その人数は400人を超えたとも言われております。
またまた大手製薬会社から発表になってしまった早期退職(リストラ)。国の超高齢化社会の到来による医療費高騰により、2018年より薬価制度抜本改革が本格化して参りました。薬価の大幅引き下げやジェネリックの80%国策化などによる製薬業界を取り巻く環境が一変致しました。その結果、外資系のサノフィ、日本ベーリンガーインゲルハイム、ノボノルディスク ファーマ、内資系では大正製薬、アステラス製薬、エーザイが2018年に入りリストラを発表致しました。
多くの製薬会社が予想以上の売り上げ減少を危惧し、人員計画を見直さざるを得ない状況になっております。しかし製薬業界全体を見渡すと、今回発表になった「ノバルティスファーマ」は、今後も新薬を出し続ける予定となっており、側から見ると将来性に不安はないように見えます。つい先日発表された同じ外資系の「ノボノルディスク ファーマ」も同様です。
今回発表された「ノバルティスファーマ」の早期退職(リストラ)。今後も新薬を次々と上市を考えている同社がリストラをせざるを得ない状況からも、製薬会社のお勤めの方は、もはや他人事ではないということがお判り頂けると思います。リストラはいつ自分の身に降りかかってくるか分からない世の中になりました。特にその矛先は多くの場合、医薬情報担当者(MR)に向けられております。
ご自身がいつリストラに巻き込まれてもおかしくないように、常に備えはしておかなくてはいけません。ノバルティスファーマの事例を参考に、同社の将来性から今後求められるMR像、転身支援に頼らない転職活動などを、業界転職歴4回の私が考えて見たいと思います。
パイプラインから見るノバルティスファーマの将来性
ノバルティスファーマといえば、最近では世間を大きく賑わせている論文不正の「ディオバン問題」があり、世間一般の印象はいまだに良いとはいえません。しかし日本製薬工業協会ホームページの開発品一覧に目を向けるとフェーズⅲにある製品が10製品以上もあり、製薬業界から見ると「将来安泰な会社」に見えます。
日本製薬工業協会ホームページ
しかし現在発売中の薬剤に目を移しますと、プライマリー領域では論文不正問題になったブロックバスターの「ディオバン」はピーク時に1,400億円もの売り上げがありましたが、論文不正問題による信頼失落やジェネリックの発売により2017年の売り上げは128億円にまで低下。また現在プライマリー領域で同社売り上げNO.1のエクアとエクメットが289億円の売り上げがあるものの、同社の売り上げ2位から10位までの製品(COPD治療薬のウルティブロや喘息の抗体製剤ゾレアなど)の売り上げ額は全て100億から200億程度となっております。
オンコロジー領域の製品を抜きにしても、今後国の薬価制度抜本改革による毎年の薬価改定での薬価ダウンや、ジェネリック化の加速、そして人口減少などを考えると、新薬を出し続けても従来品の落ち込みが激しすぎて新薬でカバー出来ないという業界の懐事情が垣間見られれます。
新薬があっても今後は必要性がなくなる製薬会社MR
そんな製薬会社の中でもまだまだ新薬が豊富な「ノバルティスファーマ」ですが、現在の従業員は本社内勤者や開発、そしてMRも含めて4,100人ほどが勤務しております。MRも2018年現在では2,000人程となっており、病院の訪問規制強化も進んでいる中では明らかに余剰人員です。
特に病院の訪問規制強化に関しましては、開業医も同様の流れになってきております。そこで製薬会社各社が急に力を入れ始めたのが『 A I 』、デジタル化です。どこの製薬会社もこぞって医師や薬剤師のメールアドレスを入手し、デジタルMRによる情報配信サービスを開始しております。
医師や薬剤師のメールアドレス取得は、いざ病院自体に訪問出来なくなった時のための「連絡ツール」を確保しようとする製薬会社各社の目論見です。今後を考えるとこれは間違った戦略ではないと私は考えます。MRが訪問しなくても定期的な情報提供が可能な時代は、もうそこまでやってきており、MR不要論は日々加速しております。
それでも製薬会社MRは必要?
『 A I 』デジタルの登場により、MRは全て必要なくなるのでしょうか?私はそうは思いません。デジタルから得られる情報には限界があります。医師や薬剤師との面会が困難な中でも面会することを求めている医師はおります。そんな医師の多くのニーズとは「薬がどのような使われ方をしているのか?」「医師や薬剤師が調べきれない最新の医療や薬剤の情報提供」「未知の副作用、安全性の情報提供」などは面会しなければ提供出来ない情報です。
現在製薬会社MRの情報提供活動にもかなりの制限があります。「求められなければ論文の提供はしてはいけない」「適応外使用の情報」「承認外の情報」など、多くの縛りがあります。今後は情報過多なプライマリー領域のMRは淘汰されていくでしょう。その一方で今回のノバルティスファーマの早期退職(リストラ)の対象外となっている「オンコロジー領域」のMRや、バイオ製品を扱っている製薬会社のMRは、今後も重宝されていくと感じます。
転身支援に頼らない転職活動を!
今回のノバルティスファーマの早期退職(リストラ)には「転身支援制度」なるものがあるそうです。これはリストラを行う会社が早期退職に手を上げる社員を対象に次のステップに向けての支援を行うことを言い、転職支援会社を通じて相談窓口をもうけることです。リストラを行う会社には、どこでもこの制度があります。
しかし今回のノバルティスファーマのリストラでは、製薬会社以外のキャリア「転身支援」も進めております。つまり「もう製薬会社の未来は明るくないので、他業種をオススメ致しますよ!」というメッセージだと私は解釈しております。
私もリストラの生の現場を目撃致しました。しかし早期退職を選択された方で会社が用意した「転身支援」を活用して、理想の転職を叶えた方はほとんどおりません。やはり自分の人生、ご自身の力で切り開いていくべきです。そのために私がおすすめしたいのは、「転職サイト」に登録することです。それも複数登録することをおすすめ致します。
おすすめの転職サイトについては、過去の記事で書いておりますので、こちらをご参考にして頂ければ幸いです。
いろんな目線から様々なご意見を伺い、自分の理想とする転職を果たすために複数サイトに登録することをおすすめ致します。そこで「今後も製薬会社に引き続き務めるべき」と思うこともあるでしょうし、「違う業界に自分のキャリアが活かせる場所があった」と思うかもしれません。
リストラによって転職するにしてもしないにしても、またまだ会社からリストラが発表されていないとしても、その予兆がある場合、転職サイトに登録することを強くおすすめ致します!いざリストラが発表された時にはすでに転職市場に人が溢れており、手遅れになることがあるからです。
下記おすすめの転職サイトです!
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ノバルティスファーマも早期退職(リストラ)実施! まとめ
比較的パイプラインも豊富で先行き安泰と思われていた「ノバルティスファーマ」による早期退職(リストラ)の発表。またまた業界に激震が走りましたが、製薬業界にお勤めの限りは「明日は我が身」です。「自分はまだ20代と若く、年齢的にも問題なし」「自分は会社で十分実績を積んできて、評価されているので大丈夫」と思っている方は危険です。そんな方でも今後の環境の変化に対応できなかったり、会社での協調性がない限りは、あっという間にリストラ候補になってしまいます。
取り返しの付かなくなる前に、転職市場に人が溢れかえる前に、リストラや転職への備えは必要です。リストラと転職への備えについて、過去に記事を書いてますので、ご参考にして頂ければ幸いです。一人でも多くの方が安心して製薬業界で引き続き働けるよう、切に願っております。
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