11月30日の日本経済新聞に、またまた製薬業界を震撼させるリストラの記事が出ておりました。
独バイエル、1万2千人を削減 全体の1割
この独バイエルのリストラの記事はあくまでも本社があるドイツを中心に行うようで、本社機能や間接部門で5,500~6千人、農業関連部門は4,100人を見込むとなっております。また医療用医薬品部門は独西部ブッパータルにある血友病向け医薬品の製造拠点を閉鎖するなどして900人、消費者向けヘルスケア部門は1,100人をそれぞれ削減する計画のようです。
この記事が流れた後に実際にバイエル薬品のMRにこのことを聞きましたが、会社からは「日本は売り上げが好調で、日本には全く関係ないことなのでご心配なく!」と再三に渡り社内でアナウンスが流れているようです。
では実際に日本のバイエル薬品は今後リストラを行わないのでしょうか?私はそうは思いません。2018年に入り薬価制度抜本改革の元、薬価の大幅引き下げや、毎年薬価改定が行われることが示唆されております。そのような製薬業界を取り巻く環境の中で、2018年に入り多くの製薬会社でリストラを断行致しました。
サノフィ・MSD・日本ベーリンガーインゲルハイム・大正製薬・アステラス製薬・エーザイ・ノボノルディスク ファーマ・ノバルティスファーマと、大手製薬会社が次々とリストラ(早期退職)を発表致しました。しかも中には現在の業績が好調な会社も含まれております。
今は売り上げ好調かもしれない「バイエル薬品」。果たして日本で今後リストラは行われるのでしょうか。現状と将来性から考えてみたいと思います。
2017年は売り上げ好調だったバイエル薬品
日本のバイエル薬品といえば、しばらくはアダラート(Ca拮抗薬)で一世を風靡したイメージが強い会社です。2017年度の売り上げ総額は3,059億円、前年比4.9%となっており、斜陽産業と言われている製薬会社の中でも成長を続けている製薬会社の一つです。
バイエル薬品の屋台骨となっているのは抗凝固薬「イグザレルト」。その売り上げは715億円(前年比11.5%プラス)を筆頭に眼科用VEGF阻害剤「アイリーア」が約600億円(前年比12.9%プラス)、高脂血症治療薬「ゼチーア」が約320億円(前年比3.7%プラス)、高リン血症治療薬が286億円(前年比1.4%プラス)と主力製品全てにおいて伸びている製薬会社です。
これら実績だけを見てみると、今のところリストラを行うような要素は全く見受けられないようにしか見えません。
バイエル薬品の今後のパイプラインからみる将来性
バイエル薬品の今後のパイプラインはいかがでしょうか?日本製薬工業協会ホームページの開発中の新薬を見てみましょう。
リバーロキサバン(製品名:イグザレルト)の適応追加が多くなっておりますが、今後も心不全や腎性貧血、さらには抗がん剤と、多くのフェーズⅲまでのパイプラインを有しております。
2019年6月以降 ゼチーアの後発品登場がターニングポイント
今後他社同様にバイエル薬品を脅かす要素の一つがジェネリックの脅威です。特にプライマリー製品に関してはジェネリックが出た瞬間に一気に変わる時代になりました。
日本ベーリンガーインゲルハイムとアステラス製薬が揃って2018年にリストラ(早期退職)を断行致しました。その要因となったのがブロックバスターで一時期1,100億円の売り上げを誇った高血圧治療薬「ミカルディス」です。これが2018年6月に出るやいなや、市場はあっという間にジェネリックに変更になり、その変効率は8割以上とも言われております。
ミカルディスは日本ベーリンガーインゲルハイムが製造、アステラス製薬が販売、コ・プロモーションも行っておりますが、コ・プロモーションといえども両社がリストラ(早期退職)への進まざるを得ませんでした。
ゼチーアも2019年6月以降にジェネリックが出るとの噂がありますが、2017年の売り上げが320億円。日本のバイエル薬品の売り上げにしめる割合は10%程度と、ミカルディスほど会社に与える影響は大きくはありませんが、コ・プロモーションをしている(販売はMSD)とはいえ、ミカルディス同様にバイエル薬品にも多少の影響はあるかもしれません。
バイエル薬品の主力品「イグザレルト」の今後
また一番の主力製品である抗凝固薬「イグザレルト」の勢いにも陰りが見えてきております。その一つが競合他社の攻勢です。イグザレルトを含む抗凝固薬、DOAC(ドアックと言われております)市場は非常に活性化しており、大手製薬会社の第一三共ではリクシアナ、ファイザー/ブリストルではエリキュースが、日本ベーリンガーインゲルハイムからはプラザキサという競合品が発売されており、各社しのぎを削っております。
二つ目の懸念点が、2017年はこの4剤の中でもトップシェアを守った「イグザレルト」ですが、2018年4月の薬価改定では「新薬創出加算」の対象から外れて、薬価が下がってしまいました。今後薬価改定ごとにどんどん薬価が下がります。ましてや715億円売れている薬剤となれば、現在の国の薬価制度抜本改革から考えて、大幅に薬価が下がる可能性もあります。
いざという時のために 備えは必ずしておきましょう!
現在バイエル薬品の多くのMRが担当するプライマリー領域の評価品目のほとんどがこの「イグザレルト」です。今後の下落と製薬業界を取り巻く環境を考えると、日本でもいつリストラが発表されるかはわかりません。
これはバイエル薬品に限った話ではありません。社内で少しでもそのような陰りが見えてきた時のために備えは必ず必要です。どのように備えれば良いかは過去に記事を書いてますので、ぜひご参考にして頂ければ幸いです↓
また他の記事でも必ず推奨しておりますが、「転職サイト」には必ず登録しておきましょう!これだけ多くの製薬会社でリストラ(早期退職)を行っておりますので、これからは転職市場に間違いなく製薬会社MRが溢れかえります。その時になってバタバタしても後の祭りです。
また転職サイトに登録するにはもう一つのメリットがあります。もし転職する気がないにしても転職エージェントから自分の評価を教えてもらえます。そこで自分の「市場価値」がわかり、転職するべきか、今いる会社で出世をするべきかがわかることもあります。転職サイトは転職したいがためだけのものではありません。自分の「市場価値」を見い出すためにも、ぜひ複数登録されることをおすすめ致します!
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独バイエル 大規模リストラ発表! 日本のバイエル薬品はどうなる? まとめ
2018年6月に行われた日本ベーリンガーインゲルハイムのリストラも、本国ドイツで行われた数年後にその波が日本にも押し寄せたと聞いております。今の日本の薬価制度抜本改革から考えると、バイエル薬品に関わらず、いつどの製薬会社でリストラ(早期退職)が発表されるかわからない世の情勢です。
このブログでも再三申し上げておりますが、すでに転職市場は製薬会社各社のリストラにより、人が溢れ返ってきております。いざという時に手遅れにならないためにも、今すぐできる備え(転職サイトに登録する、人脈を形成する、持ち運びできる資格を取得する、飲み会に行かずに自分磨きを行うなど)を今すぐにでも行いましょう!
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