2015年以降、製薬会社各社で早期退職制度という名の「リストラ」が次々と行われており、2020年2月中国武漢に端を発した新型コロナウイルスの感染拡大によってどの製薬会社も「リストラ」の危機に瀕しているといっても過言ではない状況となりました。
リストラが次々と行われる背景には、「国のジェネリック国策化80%」「薬価改定による大幅引き下げ」「新薬が生まれにくくなってきている」こと、そして2020年以降は「新型コロナウイルス」の影響による「MR不要論」が挙げられます。
2017年以降リストラを断行した製薬会社は「MSD」「大日本住友製薬」、2018年に入ってからは「サノフィ」「日本ベーリンガーインゲルハイム」「大正製薬」、「アステラス製薬」がリストラを断行致しました。
2020年以降も「ブリストル/セルジーン」、ノバルティスファーマのオンコロジー部門、武田薬品、日本ケミファ、イーライリリー、2021年に入ってからは「ヴィアトリス製薬」、「ノバルティスファーマ」、「アステラス製薬」、「アストラゼネカ」といったパイプラインが豊富な製薬会社までもがリストラを断行致しました。
私は実際に早期退職制度という名のリストラを断行した会社に所属しており、リストラの生現場を経験致しました。
その時、私は会社が定めた「リストラの対象範囲」に入っておりましたので、上長との面接も実際経験しましたし、周りで壮絶な面接を繰り返し受けている人を多く見かけて参りました。
果たしてリストラを断行する会社の雰囲気とはどのようなものなのでしょうか?
リストラ発表から早期退職制度を利用した方が、退職されてからの雰囲気など、今後もどの製薬会社、最近では医薬品卸でもリストラが発表されてもおかしくない昨今、みなさま気になる部分かと思います。
そこで2度とこんな辛い目に遭いたくないと思い、私のリストラ生現場の壮絶体験を後世に残したいと思いました。
リストラ断行前後の社内の雰囲気などの実際について、私のリストラ実体験を下記にご紹介致します。
「早期退職」という名の「リストラ」は製薬会社に限らず起こっている事ですので、どの業種の方も参考にして頂ければ幸いと存じます。
早期退職制度という名のリストラ 実際の中身とは?
別の記事でも書きましたが、早期退職制度は最終的にはあくまでも「手あげ制」です。
会社が提示する条件に基づいて退職を検討してくれるのなら「手あげ」して、というのが早期退職制度の基本です。しかし実際のリストラの現場はそんなに甘いものではありませんでした。
リストラ発表時に会社から「対象年齢と入社年」などを条件に、早期退職制度に該当する社員は全員上長との面接を設定されます。その面接では特別退職金の金額が提示され、「どうするのか?」を聞かれます。
そして悲しい事実がここに…1回目の面接時のその時には既にあなたは「残って欲しい人か?そうでない人か?」が選別されているのです。早期退職制度(リストラ)には一般的に三分類されていると言われております。
それはABC分類と言われ、Aが「絶対に残って欲しい人」Bが「手上げしたら容認する人」Cが「絶対に辞めて欲しい人」に分類されております。
その分類はリストラ断行の約半年前からリストアップが行われていると言われており、万一リストラが発表になって急に一生懸命仕事をしたところで、既に時遅しなのです。
早期退職制度(リストラ)発表後の面接期間の社内の雰囲気は最悪 モチベーションの著しい低下!
会社からリストラが発表されたらそれはそれは社内の雰囲気が重苦しくなります。
まずは対象者全員が上長との面接を1回以上必ず行うのですが、1回もしくは2回で終わる人もいれば、2回以上面接を設定される人もおりますので、「もしかして自分はリストラされるのでは?」と気付く方が出てきます。
誰もが初めは「どうせ手あげ制でしょ?」と思っていたのが、上長との面接で「辞めます」というまで繰り返し面接が行われる方がいます。その方は残念ながら「辞めます」というまでひたすら面接が繰り返し行われます。残念ながらABC分類のC、「絶対に辞めて欲しい人」なのです。
これが早期退職制度という名のリストラの現状です。そして社内では面接が1回で終わる人と、3回以上設定される人では明らかに溝が生まれます。
上述致しました通り、面接が1回もしくは2回で終わる方がA(絶対に残って欲しい人)、2回もしくは3回で終わる方がB(手上げしたら要因する人)、3回以上の面接が設定される方はC(絶対に辞めて欲しい人)ということになります。
リストラを断行した会社では、実際の仕事内容や雰囲気はどうなるのでしょうか?
手あげする人もしない人も、「自分たちはリストラ会社の社員」だということで、心に大きな傷を負います。
会社からの指示、そして売り上げ目標をやり遂げようという気持ちが当然起こらなくなります。上司もリストラ対象の場合は、もちろん上司もモチベーションは大幅に低下致します。
そして手あげして早期退職を選択された方は、次の仕事のことを考えなければいけませんので、今の仕事どころでは無くなります。
退職までの仕事内容が疎かになるのはもちろん、面接で半ば強引に「手あげ」させられた方は、会社に恨みすら持って退職される方もおりますので、顧客を伴う仕事であれば十分な引き継ぎすらされないまま退職される方も出てきます。
社員によっては一気に有休を消化し、引き継ぎすら行わないで辞めていく方も多くいらっしゃいます。半ば強引に「手あげ」させられた社員の心情を思えば、わからなくもありませんが・・
ただ私はさっさと有休消化に走り、引き継ぎを一切行わずに怒り任せに辞めて行かれた方が、他社へ転職して再び同じエリアを担当することになって回りにくくなったという事実も見て参りました。
どんな辞め方であるにせよ、どこに行っても最終的には自分自身に跳ね返ってきますので、引き継ぎはキチンとしましょう、というのが私の経験から言えることです。
ただ繰り返される面接に屈しないという方法もあります。どのようにしてリストラ面接を耐え抜くのか?私の目の前で繰り返し面接を受けた方から「リストラに耐える術」を伺っておりますので、こちらを参考にしてください↓
早期退職制度(リストラ)を利用された方が退職されてからの社内の雰囲気はしばらく最悪 会社への忠誠心がなくなる
リストラが与えた会社としてのダメージは、早期退職制度で手あげをされた方が退職されてからもしばらく尾を引きます。
自分も対象者となり面接を行った事、そして信頼する仲間たちが早期退職によって会社を去ってしまった事による心のダメージはしばらく続きました。
会社への忠誠心は確実に無くなります。中には一念発起して気持ちを新たに仕事に取り組む方もおりますが、ほんの一部です。ほとんどの社員がしばらくモチベーションの低下が続きます。
特に上長との面接で「退職を促された」方で、手上げをしなかった方への仕打ちは酷いです。希望しないエリアや部署への異動、降格が行われ、徐々に自主退職するように追い込んで行きます。
そして悪循環はABC分類のA、「残って欲しい人」へも波及致します。
過去一度リストラを行った製薬会社はもう一度リストラを行うことが多くなってます。例を上げると「MSD」、「サノフィ」「ノバルティスファーマ」などは過去に何度もリストラを断行しております。
過去に何度もリストラを行うと、その会社ではどういうことが起こるかと申し上げますと、
「どんなに結果を出していても、いつかは自分もリストラの餌食になる」
と思うようになり、会社への忠誠心は愚か、仕事に対するモチベーションも大きく低下致します。
実際にリストラが行われた会社の社員を見てますと、明らかにやる気がないのがわかります。皆さんも「昔はイケイケだったあの製薬会社が今はあのザマ?」と思うことが多いのではないでしょうか?
リストラで人数が減って得意先が回りきれないということもありますが、得意先や医薬品卸などで急に見かけなくなることがあるのが現状です。
またリストラを行った会社のその後としては、「社内での潰し合い」が起きます。特に40代以降で生き残りをかけた醜い争いが起きます。
明らかな上長へのゴマすりや、過剰な自己アピール、そして同年代社員の揚げ足取りが始まります。若手から見ると、これほど愚かで醜いことはありませんし、「社内での潰し合い」が更に若手のモチベーションを低下させます。
社員は社内営業に没頭し、肝心の顧客志向は何処へやらといった感じになります。これで会社の売り上げが良くなる訳もありません。
更に悪循環は続きます。そもそもリストラの矛先は給与水準が高い「管理職」に向けられる場合が大半です。そうなると「管理職」の方は自分の雇用を守ることに精一杯になります。
「社内営業」に没頭し自分を守ることで、部下の育成どころではなくなります。また社内にすら居場所が無い方は、退職を迫られることになりますので、より部下育成どころでは無くなります。
これでは、将来性のある若手社員が育たなくなります。
リストラを行った会社というのはすぐには立ち直ることは出来ません。むしろ悪循環へと末路をたどる場合がほとんどです。
これもリストラ実死後によく起こる現象なのですが、せっかく残った若く優秀な人材が40代以上の「社内での潰し合い」や「社内営業」などの内向きな仕事を見て嫌気が指して、早期退職制度に関係なく次々に辞めて行きます。
リストラを行った会社は、早期退職募集期間終了後も負の連鎖が続き、その後も早期退職に関係なく、優秀な方は次々と辞めていってしまいます。「無駄な社員を削った」会社としては、これでは本末転倒です。
何を隠そう私もリストラ実施後に、会社の将来性と社内の雰囲気に耐えられずに転職を決意した一人でもあります。
リストラ後に辞める社員は事前に下準備している方がほとんど。事前に転職サイトに登録して着々とステップアップへの準備をしている。
私はリストラの時には「残って欲しい」と言われましたし、特段その時は転職しようなんて思ってもおりませんでした。
ただ会社への「将来性のなさ」と「リストラ後の雰囲気の悪さ」を感じた直後、すぐに転職サイト複数社に登録して、自分の今の市場価値はどのくらいあるのか?今の自分のスキルで適正な仕事はあるのか?を模索しました。
最終的には懇意にしている方からお声掛け頂いて、現在の製薬会社で営業関連の本社内勤部門に転職が出来ましたが、リストラ実施会社で優秀な社員の方ほど、事前に転職サイトに登録して事前準備を周到に行っておりました。
そんな優秀な方が、リストラ後に次々と辞めて行って、理想的なキャリアアップを果たしているのを見るとやはり事前準備は重要なのかな?と思います。
特に2020年以降のコロナ禍でMRが訪問しなくても病院の売り上げは変わらないことが分かってしまいましたので、これからは年齢関係なくどの製薬会社でもリストラが起こってもおかしくない状況です。
なので、転職サイトには年齢に関係なく登録して、様々な会社から多様な意見を聞くべきです。もはや同じ会社で終身雇用を迎える時代ではなくなりました。
下記は製薬会社の方が良く利用しているメジャーな転職サイトです。複数登録していざという時のための事前準備をしておきましょう。
●サイト側から求人情報が来る「リクナビNEXT」
●外資系製薬会社の求人が多いのが「JACリクルートメント」MR以外にも医療機器メーカーの求人も多い
●MRの給与体系を変えたくないハイクラスな求人が多い「リクルートダイレクトスカウト」
●20代30代のMRの求人を強化しているのが「マイナビエージェント」
製薬会社MR向けの転職サイト・転職エージェントについて、詳しくはこちらの記事で紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみてください!↓↓
【MR・MSが参考になる】リストラ体験談!製薬会社での面接現場と会社の雰囲気を語る! まとめ
今までリストラを行った会社で、「社内の雰囲気が上向いた」「業績が大きく改善した」という話は聞いたことがありません。
リストラを行う会社は「業績不振」や「将来性のなさ」が断行の理由ですので、残された社員は更に不安になるとともに、モチベーションの低下、社内への忠誠心も無くなります。
となると、残った優秀な社員の方は「将来性」や「製品力」のある会社へ転職活動を開始致します。特に製薬会社は「製品力の高さ」「パイプラインの豊富さ」が社員のモチベーションをも左右する生命線です。
製薬会社は「製品力」が無い、もしくは低下してきたからリストラを行うのです。
製薬会社のMRにとって「製品力」ほどモチベーションを左右するものはありません。自社の製品を信用し、製品に自信がなければ、医師や患者へその恩恵を伝えることは出来ません。
リストラによって社員のモチベーションを低下させ、更に「製品力・将来性のなさ」が更に優秀な社員の方を転職へと導きます。
製薬会社に限った話ではありませんが、今いる会社の「製品力」や「将来性」がなければ、他社への転職を考える時にきていると思います。
何度も申し上げますが、リストラ断行会社の未来は決して明るくありません。社内の雰囲気も確実に悪くなり、モチベーションも大きく低下致します。転職の向けての備えを今すぐすることをおすすめ致します。
コメント
全く持ってその通りです。
部長クラスの人で優秀な人は早期退職に手を上げ、そうでない人は自分を守ることで精一杯で、部下を守ることはしない。設定された人数を辞めさせることに躍起になっている。
使えないが心がタフな人は度重なる面接をもろともせず、残留。
残留した人は会社への不信感でいっぱいで常に暗い雰囲気が漂っている。
削減された人員の補充はなく、現場は手一杯。
その後早期退職制度対象外だった若手の優秀な方々が次々と自主退職していっている。
まともな人がほぼ残っていないこの会社に未来はないと思う。
ぶっかけ様
コメントありがとうございます。ぶっかけさんが仰る通りの体験を私はモロに体験致しました。そして私もその雰囲気と会社の将来性を悲観して辞めた一人です。ただ辞めても昔のようにMR認定証を持っていればどこにもいけるという時代ではなくなりましたので、転職の決断は難しいところです。製薬業界を上回る給与体系と福利厚生の業界はほぼありませんので、やはりご自身何か違うモチベーションを持つことが大事なのかもしれません。