2022年度も製薬会社によるリストラの話題は絶えません。
特に2022年8月に発表になったファイザー営業部隊600人削減のニュースはリストラの話題に慣れている業界関係者の中でも、久々に衝撃的なニュースでした。
製薬業界におけるリーディングカンパニーであるファイザーがコロナ禍である意味の「MR不要論」を発表することによって、特にプライマリーメインの製薬会社ではリストラの追随が起こる可能性は高いと言えます。
製薬会社にお勤めの方には耳が痛いかもしれませんが、もはや「1社だけの経験」しかも「プライマリーMRの経験しかない」というのはリストラ候補筆頭と言っても過言ではありません。
今の製薬会社を取り巻く環境を考えたときに、どの製薬会社でもいつリストラが断行されてもおかしくない状況です。
「うちの会社ヤバいな・・」と思ったら転職を考えるべきです。しかし現在はコロナ禍、かつMRの求人は多いとは言えません。業界自体も先行き不透明です。
ただそれでも4回の転職とリストラの生現場を体感した私はMRの方々に強く転職をおすすめ致します。転職に対し、不安な方が多いと思いますので、実際に私の体験談をもとに皆様が転職したくてもできない理由を下記に払しょくして参ります。
私が転職を決断した理由とは?
まずは私の転職歴についてご紹介致します。私の社会人スタートは地方の医薬品卸MSでした。
その後内資系製薬会社MR→外資系製薬会社本社営業部門→外資系製薬会社MR→外資系製薬会社本社営業部門と4回の転職でキャリアアップして参りました。
その間「外資系製薬会社MR」の時に大規模なリストラを体験。その時のリストラ体験談も書いてます↓
ただし私はその時には特段辞めたいと思わなかったので、手上げはしませんでしたが、リストラ後に会社の雰囲気が一変し。直後にちょうどそのタイミングで今の会社にお声掛け頂き、4回目の転職を果たすことが出来ました。
リストラ後の会社の雰囲気が悪くなることは他のリストラ経験者からも良く聞く話ですし、一度リストラを断行した会社はその後も繰り返しリストラを断行するというがもはや常識となってます。
なのでリストラ断行会社に残った方からは「あの時辞めておけばよかった」「転職に踏み切るタイミングを見誤った」というご意見が多数です。
転職は転職に踏み切る決断とタイミングが大事です。私はこれまで4回の転職を一度も後悔したことがありません。
それはもちろん「この会社の薬で社会貢献したい!」というのが一番の目的ではありますが、一度も後悔していないのは、転職に踏み切る決断とタイミングを読み間違えなかったからだと、今振り返ればそう感じてます。
会社がヤバくても転職に踏み切れない理由を払しょくする
ただMRの方々の中には転職の決断とタイミングが訪れたにもかかわらず、下記理由にように「転職したくても理由があって踏み切れない!」という方は多いこととお察し致します。
ただ今の製薬会社を取り巻く環境を考えたと時に、もうそうは言っていられない状況だということを肝に銘じておきべきです。
いろんな理由があって転職に踏み切れないことは重々承知の上です。しかしそんな悩める転職に踏み切れないMRの方々のために、私自身の体験談と周囲の状況から「転職出来ない理由」を下記に払しょくして参ります。
新卒から生え抜きで働き続けたので、このまま終身雇用で働き続けたい
もう年齢も50歳を超えて社会人としてのゴールが見えてきた、このまま終身雇用で逃げ切ろう、とお考えの生え抜きの方はどこの会社にもいらっしゃることと存じます。
特にこの変化が求められる時代に、変化に順応しない、定年退職というゴールしか見ていない50代社員に対する若手の目線は冷ややかです。
私が実際にリストラの生現場を体感した中で一番のリストラ候補なのが「生え抜き社員で一つの部署しか経験のない人」です。
特に50代で「生え抜き、MR経験しかない」という人で上記のようなゴールしか見えていない人というのは間違いなくリストラ候補筆頭です。
勤続年数20年を超えると、みなさん大体退職金のことが頭に浮かぶようです。「20年以上働き続ければある程度の退職金が出る・・」と思って、会社にしがみついている方をたくさん見かけて参りました。
ただ今の転職が当たり前になっている市場において「1社だけの経験しかない」というのは大変危険です。年を重ねれば重ねるほど、いざという時に転職が叶わなくなります。
製薬業界に限らず、もはや終身雇用という概念すら崩壊している世の中ですから「この会社で一生働き続ける」という考えは捨てたほうが良いでしょう。
今の20代30代にこんな考え方の人は居ないと思いますが、今お勤めの会社が「やばいな・・」と感じたらリストラのタイミングを待たずに転職を決意された方が良いでしょう。
コロナ禍で先行き不安なので転職に踏み切れない
「コロナ禍で先行き不透明な中、転職するなんて・・なんて勇気がいることなのだろうか・・」と遠目で転職者を見ている方がいらっしゃることとお察し致します。
ただ先行き不透明なのはコロナがなくても変わりません。
終息が見えないコロナを言い訳にしてずっと転職に踏み切れないまま、いつの間にか転勤の辞令が言い渡されたら皆様どう感じるでしょうか?きっと「あの時さっさと転職しておけばよかった」と思うことでしょう。
私はこれまでに転職を含めて合計10回の異動を行いました。転勤で支店が変われば同じ会社でも全くの別会社です。そう思うと「転職なんて怖くない」と感じてしまいます。
住宅を購入してしまって転職により異動したくない
「家を購入してしまったので、今は転職出来ない、異動したくない」転職に踏み切れない理由にこんなご意見も多く聞きます。
実際に私も住宅を購入して転職を踏みとどまった一人です。ただその時に声をかけてもらった先輩から言われたのが「もしここで決断しなかった場合、同じタイミングで異動になったらどう思う?一生後悔するよ」
「製薬会社に勤めていると転勤は付き物だし、転勤したと思って一社に頑張ってみないか?」と、この一言で転職を決意しました。
そして当ブログにも記載しておりますが、現会社に転職してからしばらくは単身赴任をしておりました。製薬会社に勤めているといつかは単身赴任にならざるを得ない時が来ます。
製薬会社に全国転勤は付き物です。いつかは絶対に家を手放さなければならない、もしくは単身赴任せざるを得ない時がやってきます。
しかも会社としては家を買った人の方が「ローンを背負っていてコイツは何があっても辞めないだろう」と思われているので、転勤しやすいというきらいがあります。
異動=転職だと思えば、とても気が楽になります。今在籍している会社で異動したと思えば、転職なんて怖くありません。
家庭の都合で転職できない
「両親の面倒を見なければいけない」「子供が就学のタイミングで異動したくないので転職出来ない」これも転職に踏み切れない理由でよく聞かれることです。
今はどの会社も「異動のない勤務地制度」を設けている会社が多く、転勤無しでずっと希望地に居られるということもあります。
ただそんな悠長なことを言っていられないのが現在の製薬業界を取り巻く環境です。「異動のない勤務地制度」を使っている方でもリストラになる可能性は大です。
上記でもご紹介致しましたが、製薬業界は全国転勤が付き物です。そして中途採用市場では「全国転勤可能」な方がもっとも優遇されるという現状があります。
製薬会社では異動や転勤が付き物だということをご家族にコツコツと説明しておく必要もあります。私は家族にそれをずっと説いてまいりました。
私もこれまでの4回の転職のうち2回、こどもの就学タイミングに遭遇しております。一度は受け入れてもらい一緒に新天地に引っ越ししてくれましたが、2度目は単身赴任を余儀なくされました。
私は単身赴任をする際に「家庭の事業で居住地を変えられない」と申し入れしましたが、断られてしまいました。
単身赴任をしてそれでも転職を選択したのは「この会社の薬で社会貢献したい」という目的が見えたこと、そして製薬会社では全国転勤が当たり前、いつかは単身赴任が当たり前を認識したことです。
転職するかの判断は最終的に「やりがい」
上記で「転職に踏み切れない理由」を払しょくして参りましたが、最終的に転職を判断する基準はご自身の仕事に対する「やりがい」です。
私も「この会社の薬で社会貢献したい!」という「やりがい」を求めて4回の転職をしてきました。
転職の理由の一つに「リストラによって会社の雰囲気が悪くなった」というのはありますが、リストラ以前にやはり「自社製品に対するやりがいがなくなった」のが一番大きかったです。
どんなに給与が福利厚生が充実していても「自社製品に対するやりがい」がなくなってしまうとモチベーションを維持することが出来ません。
大概リストラ前後にやりがいを失う傾向にありますが、「やりがいを感じなくなった」と時が転職を意識する一番のタイミングかなと思います。
コロナ禍でも安定した求人数の転職エージェントは?
現在MRをはじめ、製薬会社全般的に求人が多いとは言えません。ただいざリストラが始まって何もしていなかったでは時すでに遅しです。
現在どこの製薬会社でもリストラの危機に瀕しているといっても良い環境の中、「どの転職エージェントにも登録していなかった」では、いざリストラが断行された時には路頭に迷うことになります。
なので先手先手で動く必要があります。その一つが転職エージェントに登録することです。下記にコロナ禍でも転職エージェントの中でも比較的MRを中心とした求人が多い転職エージェントをご紹介致します。
転職エージェントや転職サイトは複数登録しておくことをおすすめ致します。それぞれ自社の強みがあって、皆さまのセールスポイントを見る目もそれぞれだからです。
まだ転職エージェントに登録されていないという方は、ぜひこの機会に登録されて、様々な角度からご評価して頂くことをおすすめ致します。
MR BiZ
名前の通りMRの転職に特化した転職エージェントが「MR BiZ」です。1部上場企業の株式会社クイックが運営している転職エージェントです。
メガファーマから中堅の製薬会社まで業界トップクラスの求人数を誇り、唯一のMR専門転職エージェントですので、MR職に拘りたいのであれば絶対に登録しておくべき転職エージェントです。
MR BiZの担当者の方に転職市場動向を直接伺いました。2022年10月段階でMRの転職市場は対前年増加傾向とのことなので、MRを続けたい方はまだチャンスがありです。
ただし転職に有利な年齢層は26-44歳で、39歳までだと尚に有利のようです。 「MR BiZ」の利用に関して年齢制限は特にありませんが、50代での転職要件はあるものの、上記年齢層に比べるとかなり少ないようです。
なので「まだ私は早期退職募集要件に当てはまらない年齢」とも言える現在20代-34歳の方は、将来必ずリストラの憂き目に合うことを考えれば「MR BiZ」には登録しておくべきかと思います。
また「MR BiZ」ではMR職以外にもCRAやMSLさらには特約店担当者など、製薬業界での幅広い職種も扱っております。リストラのリスク回避という観点だけではなく、キャリアアップを見据えて登録されるのも良いでしょう。
JACリクルートメント
MR転職氷河期時代でも外資系の求人が多いのが「JACリクルートメント」です。「JACリクルートメント」のホームページにもMR求人数はコロナ禍の2022年でも、ここ5年でトップレベルの多さと、自負しているくらいMR求人が豊富です。
MRを含む製薬会社の中でも現在圧倒的に求人が多いのが外資系です。特に最近はバイオベンチャーを中心に日本進出をきっかけに中途採用を募集している外資系製薬会社が増えてきております。
今後製薬会社で働き続けたいのなら間違いなくパイプラインが豊富な外資系製薬会社への転職がおすすめです。外資系製薬会社への転職を目指すのであれば、絶対「JACリクルートメント」には登録しておくべきです。
また「JACリクルートメント」では同じ医療業界への転職も豊富です。私の元同僚は「JACリクルートメント」を通じて製薬会社MRから外資系医療機器メーカーへの転職を果たしました。
その元同僚が外資系医療機器メーカーへの転職を果たした過去現在についてインタビューを行っておりますので、ぜひ転職活動の参考にしてください↓
リクルートダイレクトスカウト
誰しもが知る「リクルート」が運営する「リクルートダイレクトスカウト」 私は「リクルートダイレクトスカウト」の前身である「キャリアカーバー」の時に登録致しました。
「リクルートダイレクトスカウト」の特徴としては、ご自身の職歴と気になる求人や条件を入力したらそれに見合った求人が企業やエージェント、ヘッドハンターから直接連絡が来るという仕組みです。
この手の転職エージェントはいくつもあるのですが、その代表格である「ビズリーチ」の倍以上はオファーが来ると感じております。
製薬業界の求人としては「リクルート」の知名度などから「リクルートダイレクトスカウト」が圧倒的に多いと私自身感じております。
そしてその求人のほぼ100%がやはり外資系製薬会社でした。私の場合、現在は外資系製薬会社の本社営業部門に所属しておりますので、そのキャリアを生かしたオファーを多く頂きます。
製薬会社で仕事を続けながら他部署の仕事をしてみたい、という方はぜひ「リクルートダイレクトスカウト」に登録されることをおすすめ致します。
薬剤師MRは調剤薬局や病院薬剤師という道もある
2022年度版の「MR白書」によると、2021年度の総MR数のうち、薬剤師MRの数は4,834名でMR全体の9.4%ということが分かっております。
https://www.mre.or.jp/info/pdfs/2022hakusyo-1-6.pdf
薬剤師MRはこのまま製薬業界に居続けたとしても、また転職するにしても手に職のないMRよりは圧倒的に有利です。
薬剤師として転職できることはもちろん、製薬会社の中でもMR以外にMSLや管理薬剤師として働くことも出来ます。
厚生労働省による令和2年度の薬剤師数の調査では、日本における薬剤師の総数は321,982人で、先進国の中でも群を抜いて多いということが分かっております。
薬剤師過多と言われておりますが、それでも薬剤師は大都市に集中し、病院薬剤師や地方の調剤薬局では薬剤師が不足しております。
なのでしばらくMR経験をしたのち、早期退職である程度の特別退職金を手にして病院薬剤師や地方の調剤薬局の薬剤師として活躍されている元MRの方は沢山いらっしゃいます。
私の元同僚でも地方の調剤薬局、そして大手グループ調剤に勤務したのちに自ら薬局を開局された元MRがおり、インタビューしております。薬剤師MRの方で薬剤師への転職をお考えの方の参考になるかと思います↓
MR求人氷河期でも異業種への転職は医療機器メーカーのみ推奨
先行き不透明な製薬業界とはいえ、他業種に比べれば給与面や福利厚生面から見たらまだまだ恵まれている製薬業界。
せっかく苦労して入社してある程度の年収も富も確保できたにもかかわらず、リストラの憂き目にあり、希望してもいない他業種への転職を余儀なくされて、年収がガッツリ下がってしまった、そんな方を私は多く見かけて参りました。
年収大幅ダウンも「ノルマのプレッシャーから解放された」「地元で働けるので幸せ」とプラスに考えている方もいらっしゃいますが、家庭環境などでそうもいかない方は多いはずです。
願わくば万一転職するにしても「年収や福利厚生は保ちたい」ですよね。
もちろん製薬会社間での転職が一番の理想形なのですが、MR求人氷河期でそううまくいかないのが現状です。
製薬会社から他業種へ転職して年収を維持できるのは。私の身の回りでMRから他業種に転職した方では医療機器メーカーと保険会社だけです。
ただ保険会社は基本ド新規かつコロナ禍での対面が基本、かつ歩合制なので、今の時代に即しているとは言えません。
一方医療機器メーカーへの転職者はコロナ禍でも先生方から必要とされ、術場にも入ることが出来ます。コロナ禍でより一層MRよりもやりがいを感じられると言います。
なので、製薬業界から他業種へ転職される場合は、年収などの条件面ややりがいなどを総合的に勘案しても、医療機器メーカー一択だと考えます。
実際にMRから医療機器メーカーへ転職された方にインタビューした記事を書いてますので、MRから医療機器メーカーへの転職をお考えの方はぜひ参考にしてみてください!↓
まとめ:会社のリストラ予兆を感じたら転職活動は今すぐにでも始めるべき
転職出来ない理由を払しょくすることを上記で述べて参りましたが、これまで私は当ブログの中で「自社で異動届を出して部署異動する」こともおすすめして参りました。
リストラによって出世のライバルが減っていくわけですから「自社内でキャリアアップする」というのも一つの手段です。
ただし年齢を重ねるごとにリストラ候補の可能性が高まり、1社だけの経験だと他社への転職がしにくくなるという意味では、いざという時に潰しが効きません。
転職をただのリストラ回避策として考えるのではなく、ご自身のキャリアアップだと考えれば後悔することはないでしょう。
今在籍している会社でリストラの予兆を感じたらすぐに転職活動をするべきです。皆様の転職活動がご自身のキャリア形成にとって後悔がないものになりますよう、切に願っております。
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