最近立て続けに外資系製薬会社のリストラ(早期退職)のニュースが飛び込んできております。今度はMSDが2017年に続き、なんと4回目のリストラ(早期退職)を行うとのニュースが発表になりました。
相次ぐ大手外資系製薬会社のリストラ(早期退職)の発表。2度あることは3度あるとも言いますが、現在「キイトルーダ」が好調なMSDに一体何が起こっているのでしょうか? MSDの4回目のリストラ(早期退職)が意味するものと、今後の製薬業界全体の流れを鑑みながら考えて参ります。
MSD4回目のリストラ(早期退職)の内容!
2019年10月に発表されたMSDの早期退職(リストラ)の募集内容は日刊薬業によると、30歳以上の正社員で募集人数は250名、対象はMRなどの営業部門の他に、経営関連部門なども含まれるようです。募集内容を見る限り2017年に行った早期退職(リストラ)の内容とほぼ同様になりそうです。
MSDの2019年3月末のMR数は1,900人(前年比100人減)、製薬会社の中でもMRの人数はまだまだ多い方ですので、プライマリーのMR、特に50歳以上のMRを中心にリストラ(早期退職)が行われると言って間違いありません。
やはり2019年10月薬価改定が大きなターニングポイント!
MSDといえば最近は糖尿病治療薬DPP4阻害薬の「ジャヌビア」や抗PD-1抗体「キイトルーダ」が有名です。MSDの2018年度の売り上げは3,497億円(前年比2.5%減)その中でもオプチーボに続く期待の薬剤である「キイトルーダ」は2018年度781億円もの売り上げを上げ、一躍MSDのトップ製品へと成長致しました。
しかし強豪ひしめくDPP4薬の中でも売り上げナンバーワンを誇ってきたMSDの「ジャヌビア」も2016年4月から薬価がダウン、この2019年10月の薬価改定でもダウン、さらに2020年4月にも薬価改定がありますので、どんどん薬価が下がることが予測されます。そして糖尿病市場はというとSGLT2阻害薬が台頭してきたこともあり、売り上げがさらにダウンすることも予測されます。
また「キイトルーダ」も当初予定よりも売れすぎたことによって市場拡大再算定(年間販売額が予想販売額の一定倍数を超えた場合等には、薬価改定時に価格を更に引き下げるというルール)で大幅に薬価が下がることも予測されております。現に2018年に当初予定よりも売れすぎたアッヴィのC型肝炎治療薬「マヴィレット」は2019年2月という薬価改定とは関係のない月に薬価25%ダウンという憂き目にあっております。またキイトルーダは今が売り上げのピークとも入れております。
本来消費税増税分だけが値上がりすればよかった「薬価」が通常の薬価改定と同様のダウンを受けた製品が多く、さらに半年後の2020年4月にも薬価改定があることから、経営に大きな打撃を受ける製薬会社が今後相次ぎ、リストラ(早期退職)に踏み切るメーカーが多く出てくるのかが心配なところです。
薬価ダウンの影響が今後次々とリストラという形で現れてくる!
2019年10月の消費税増税に伴う薬価改定では、本来2%薬価が値上がりするはずだったところ、製薬業界平均で2.4%の薬価ダウン(薬剤費ベース)となりました。特に会社としての売り上げ規模が1,000億円に満たない中堅メーカーや後発品メーカー、新薬創出加算品目を持たないメーカーは業界平均よりも大きな引き下げを受ける結果となりました。
上述した通り、半年後の2020年4月には再び薬価改定が行われます。今回業界平均よりも大きな薬価ダウンを受けた製薬会社は、さらなる薬価ダウンの憂き目に合うことが予測されます。数%の薬価ダウンが経営に大きなダメージを与えることは必須で、今後さらにリストラ(早期退職)が進むことが懸念されます。
パイプラインが希薄な製薬会社は要注意!
現在の売り上げが好調でも、会社の主力品が今後ジェネリックの発売予定があったり、今後のパイプラインが希薄な製薬会社は、リストラを行う可能性が大!ということは当ブログでも再三申し上げて参りました。
そこで今回リストラ(早期退職)を発表したMSDのパイプラインを見てみましょう。
MSDのホームページから日本国内での開発品の状況を確認致しましたが、ほとんどが「キイトルーダ」の適応追加だけで、開発ラインアップはほとんどありません。MSDのプライマリーの主力製品である糖尿病治療薬のDPP4阻害剤「ジャヌビア」やSGLT2との配合剤「スージャヌ」も強豪も激しく、今後もさらなる薬価ダウンが予測されます。
また同じくMSDのプライマリー製品で高脂血症治療薬「ゼチーア」は2019年12月にジェネリックが発売、また薬価手続きの不備によって全品が回収となり、今でも供給が再開できてない「デザレックス」(販売は杏林製薬)など、最近のMSDは「キイトルーダ」以外明るい兆しがありません。
MSDのように今後のパイプラインが希薄な製薬会社は今後リストラ(早期退職)を行う可能性がかなり高まっております。今回MSDは実に4度目のリストラ(早期退職)発表になりますが、今まで給与や福利厚生にメスを入れて、社員の雇用だけは守ってきた国内製薬会社も、現在の薬価制度抜本改革にはもはや手の施しようがありません。2019年に入って今までリストラ(早期退職)を行ったことのない協和発酵キリンや鳥居薬品のような国内中堅メーカーでさえもリストラ(早期退職)を断行致しました。自社のパイプラインを見て、将来性がないなと思った時には、次の一手を考える必要があります。
今からでも間に合う!リストラ対策!
私は過去4回の転職歴がありますが、実際に生のリストラの現場も経験致しました。リストラが宣言される前には必ず何かしらの前兆があります。主力品がジェネリックが発売されて大きな売り上げダウンが予測される、これが最近リストラ(早期退職)を行う製薬会社で多い一番のパターンかと思います。
前兆を感じたら今すぐリストラ対策を講じるべきです。リストラが発表された時にはすでに会社は「リストラ候補者」の絞り込みが終わっております。その時にリストラ候補にならないためにも、またリストラ(早期退職)で会社を辞めることになって食いっぱぐれないためにも、今からできる対策をご紹介致します。
前兆を感じたら他社に行っても使える資格を取得する
私は実際に生のリストラ現場を経験する1年ほど前から前兆を感じておりました。
実際のリストラの生の現場の様子についてブログに記載しておりますので、一つのリストラ対策として参考になりましたら幸いです↓↓
いざという時のために「他社に行っても通用する資格」を取得するため、1年間で色々な資格を取得致しました。ファイナンシャルプランナー、メンタルヘルスマネジメント・サービス接遇検定などです。これらは実際に転職の際にも面接で大いに活用出来ました。製薬会社MRに必要な資格についてブログに記載しておりますので、ぜひ参考にしてください↓
今のうちに「デジタル」を極めておく
私は実際に生の現場を経験した時に、残念ながら「リストラ候補」になってしまった方が上長との面接で「あなたは会社のデジタルを使っていない。これからのデジタルの時代に生き残っていくのは難しい」と退職宣告をされたと言います。今回のMSDやバイエル薬品のリストラの内容を見ると、今後の会社戦略には必ず「デジタル戦略」が盛り込まれております。
医療機関の訪問規制が進み、MRも年々減少してきている中で、医師や薬剤師とのコンタクトが面会ではなく「デジタル」に置き換わってきております。現在多くの製薬会社では「デジタル化」が進んでおります。会社が用意した「デジタルコンテンツ」を使いこなしていないMRは「リストラ候補」にされてしまいます。
今まで足で稼いできたMRの方は、デジタルには抵抗感があるお気持ちは良く分かります。しかし時代は変わり環境の変化に対応出来ないMRは淘汰されてしまう時代なのです。今後デジタルを使いこなせないMRは生き残っていけません。抵抗感があるとは思いますが、今のうちに会社のデジタルコンテンツを使いこなせるようにしておきましょう。
今すぐ転職サイトに登録する
これは当ブログでも再三申し上げていることですが、いざリストラが断行された時に路頭に迷わないためにも、また今の自分の市場価値を知る、または見出してくれるためにも「転職サイト」に登録しておくことは、もはや当たり前のことです。リストラの前兆があったら、必ず複数社登録して、エージェントから様々な意見を聞くように致しましょう。
今後業界として、製薬会社MRが増えることはありません。製薬会社MR以外の道を模索するのも手ですが、なかなかこの業界歴が長いと、給与面や福利厚生面で他業種を選択するのは躊躇してしまいがちです。出来るだけ製薬会社MRとして引き続き仕事をしたいですよね。私はいくつかの転職サイト・エージェントに登録しておりますが、その中でも製薬会社MRの求人が比較的多いのが下記の3つのサイトと実感しております。
それぞれに強みが違いますので、複数社登録して、様々な意見を聞くことをおすすめ致します!
今のうちに副業である程度の生計を立てておく
いざ会社からリストラが発表されても「後ろ盾」があるのとないのとでは、心の余裕にかなりの違いが出て参ります。正直今の製薬会社MRは、医療機関の訪問規制強化によって、かなり時間に余裕があると思います。そんなスキマ時間や働き方改革で以前よりも早く帰宅できるようにもなりましたので、前兆を感じた段階で副業をされることをおすすめ致します。
現在は働き方改革によって企業の副業も解禁されてきております。製薬会社MRに多いのが不動産や株、投資などが主な副業に該当すると思いますが、私のように仕事終わりに趣味のブログを書いてある程度の生計を立てている方も最近では多くなって参りました。
副業も沢山の種類があります。自分の趣味に照らし合わせて今のうちに副業を始めておくというのも一つのリストラ対策になるでしょう。
2019MSDもリストラ発表!4回目早期退職募集が意味するものは?まとめ
2019年は2018年と比べてもリストラのニュースが絶えません。製薬会社MRは今後も減り続けていくことは間違いありません。まずは前兆を感じたら、対策を講じることを忘れてはいけません。
当ブログでは私の転職歴と実際のリストラの生の現場を体験した経験に基づいて様々な形での「リストラ対策」をご紹介しております。ぜひ他のコンテンツもお役に立てましたら幸いです。気が付いた今からリストラ対策(早期退職)を実行に移しましょう!
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