コロナ禍で大きく売上が減少し、企業の存続すら危ぶまれている業界が多い中、医薬品の売上は大きなダウンには至っておりません。まだまだ他の業界に比べると製薬会社は安泰だな、と感じます。
しかし当ブログではアフターコロナで人件費が高いMRの必要性が問われ、リストラが加速すると申し上げて参りました。
そしてついに恐れていた事態が・・ アフターコロナで日本ケミファがリストラを断行するとのプレスリリースがありました。
アフターコロナで加速すると思われる製薬会社のリストラ。日本ケミファの事例とともに、製薬業界でのリストラ対策を再考して参ります。
日本ケミファとはどのような会社か?
2020年7月にリストラを断行することを発表した日本ケミファは、ジェネリックを主軸とする製薬会社で、2020年3月期での自社医薬品に占めるジェネリック比率は95.1%となっております。
主力品はアムロジピン・ランソプラゾール・ドネペジル・ラベプラゾールなどのジェネリックとなっておりますが、2020年3月期決算では、どの薬剤も前同比が大幅マイナスとなっております。
●アムロジピン(2020年3月期売上:26億円 前同比7.5%減)
●ランソプラゾール(2020年3月期売上:12億円 前同比23.7%減)
●ドネペジル(2020年3月期売上:10億円 前同比14.7%減)
●ラベプラゾール(2020年3月期売上:13億円 前同比3.9%減)
※出典:日本ケミファホームページより抜粋 https://www.chemiphar.co.jp/ir/highlight/business_results.html
さらに日本ケミファは2020年4月薬価改定で16%の大幅ダウンをくらっており、既存製品に関しては今後も更なる売上減少が見込まれます。
そして注目すべき点は、製薬会社としてはあり得ない「営業利益率」の低さです。
※出典:日本ケミファホームページより抜粋 https://www.chemiphar.co.jp/ir/highlight/business_results.html
参考までに2019年度の他製薬会社の営業利益率を見てみますと、塩野義製薬(38.1%)や小野(21.5%)、中外製薬(21.4%)となっており、日本ケミファの営業利益率は医薬品卸並みかそれ以下となっております。
日本ケミファのリストラ概要
2020年7月に日本ケミファが発表したリストラの概要は以下の通りです。
①募集対象:支店、営業所に所属または駐在する医薬営業部門社員
② 募集人数:30 名程度
③ 募集期間:2020 年 8 月 7 日~2020年8月28日
④ 退職日 :2020年9月30日
⑤ 優遇措置:割増退職金の支給、再就職支援制度の適用
つまり対象はMRがメインとなっております。
対象年齢は公表されておりませんが、ただでさえMRが260人しかいない日本ケミファですので、大幅戦力ダウンは否めず、いまだ人海戦術のジェネリック業界においては売り上げに与える影響も大きそうです。
日本ケミファの将来性は?
ジェネリック中心の日本ケミファですが、先発品も扱っております。その代表格が痛風・高尿酸血漿治療薬の「ウラリット」です。
ただしウラリットもすでにジェネリックが発売されており、2020年3月期決算では8億円の売り上げに留まっております。
また日本製薬工業協会の開発中の薬剤一覧を見ても、痛風・高尿酸血症治療薬と神経障害性疼痛の2つがそれぞれフェーズ1にある程度で、しばらく新薬の発売はなさそうです。
また日本ケミファは2020年4月の薬価改定で、業界平均を大幅に上回る16%の薬価ダウンを受けており、「新薬がない」「ジェネリックの薬価は下がる一方」を見る限り、将来性は明るくないことが分かります。
ご自身の会社の将来性を見極める
製薬会社で勤めるモチベーションの源は「製品力」と「パイプライン」です。
私はこれまでに4回の転職を経験致しましたが、本当にそれを実感致しました。「製品力」や「パイプライン」が仕事をする大きなモチベーションとなることを身を持って経験致しました。
「製品力」や「パイプライン」がないと本当にモチベーションが上がりません。皆様お勤めの会社には「製品力」や「パイプライン」はありますか?
最近モチベーションが上がらない!という方は、それがコロナの影響ではなく「製品力」や「パイプライン」ではないでしょうか?
特にコロナ禍で「製品力」がないと、デジタルやリモートでのネタにも困るはずです。「製品力」や「パイプライン」がないとMRの存在価値すら疑ってしまうことをコロナ禍で感じた方も多いかと思います。
そしてリストラが始まる時には大体予兆があります。会社の主力製品にジェネリックが発売される時期が判明しており、その製品の売上を穴埋めすることが出来る新薬の発売がしばらくない、という時です。
しかし気が付いた気にリストラが発表され、気が付いた時には「肩叩き」されていたなんて事態を避けるためには「ご自身の会社の将来性」「パイプラインは豊富か?」を先読みしておくことが重要です。
デジタルやリモートを誰よりも使いこなせるMRになる
他社に転職するには自分にしかない大きな強みが大事だという話は、当ブログで再三申し上げて参りました。
しかしコロナ禍の今、製薬会社としていち早く即戦力となるスキルは「デジタル」と「リモート」を使いこなせるスキルです。
日本ケミファがプレスリリースした「グループ構造改革実施のお知らせ」の中に「デジタルトランスフォーメーションの推進」というのがあります。
早い会社ですと三、四年前からすでに「デジタルトランスフォーメーション」を導入してます。今から手をつけているようではすでに時遅しです。
このような対応の遅れが、会社の業績にも大きな営業を及ぼしているとしか思えません。MRもしかりです。
アフターコロナで、「デジタルやリモートに抵抗がある」人は必ず淘汰されます。今後どの会社でもリストラの可能性が高まる中で、変化に対応できない人は「リストラ候補」になることは間違いありません。
私は過去在籍した会社でリストラの生現場を経験致しましたが、その時「肩叩き」された方のほとんどが「デジタルを使いこなせていない人」でした。変化に対応できない人は、もう製薬業界で生き残っていけないのです。
今後「デジタルで先生方へ上手く情報提供する」「リモートを駆使して先生方に的確な情報提供を行う」「先生方のニーズにマッチしたオンライン講演会を開催する」などのスキルが、会社に残ることのできるスキルであり、他社に行っても活用できるポータブルスキルにもなります。
それぞれのスキルに関して、上手く活用する方法について記事を書いてますの、ぜひご参考にして頂けますと幸いです。
ついに始まった!アフターコロナで日本ケミファリストラ断行!まとめ
日本ケミファのリストラは2020年4月の薬価改定16%ダウンからある程度予測できましたが、コロナが追い討ちを掛けたことは言うまでもありません。
アフターコロナではどの製薬会社も先行き不透明で、一寸先は闇です。今まで好調だった会社がコロナがきっかけで急に傾くことだって大いにあり得ます。
他の業界に比べてばまだまだ安泰な感じは否めませんが、どの製薬会社にいても安心はできない状況です。そして新型コロナウイルスの第二波も目前と迫っております。
また医療機関への訪問自粛が更に強まり、テレワーク期間も更に延長する可能性もあります。今この時間を将来のご自身のために使いましょう。
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