新型コロナウイルスの感染拡大によって製薬会社MRの活動は一変致しました。
在宅勤務(テレワーク)期間も3ヶ月以上に及んだ上、緊急事態宣言が解除された後もなお医療機関への訪問禁止が全国的に続いております。
この記事を書いている7月4日現在では首都圏を中心に再び患者数が増加傾向にあり、今後さらに医療機関への訪問規制が強化されるかもしれません。
MRの皆様はこのテレワーク期間中に「MRって必要なのかな??」と自問自答された方も多いのではないでしょうか?
そしてテレワーク期間中には先生方に対してデジタルやリモートを活用した情報提供を行ったMRの方もいらっしゃるかと思いますが、中には「情報提供するネタがない・・」と何も活動されていない方もいらっしゃるかと思います。
テレワーク期間中にアフターコロナで自分が在籍している製薬会社が先生方や患者さんにとって「必要な製薬会社」か「必要でない製薬会社」かが良くわかったかと思います。
そこで「転職しようかな・・」と感じたMRの方もいらっしゃるのではないでしょうか?しかし「コロナ禍での転職は先行き不安定な中、リスキーではないか?」と思う方が大半ではないでしょうか?
しかしコロナ禍でも転職活動をし、無事に転職を果たした方がいらっしゃいます。
今回はコロナ禍でステップアップの転職を果たした方に、コロナ禍での転職活動とコロナ禍での引き継ぎについてインタビュー致しました。ぜひコロナ禍での転職活動と引き継ぎの参考にして頂けますと幸いです。
コロナ禍で気がついた「プライマリー領域」の限界
コロナ禍でテレワークの先が見えない中で「この会社大丈夫かな・・」と不安に思った方も多いはずです。
特にプライマリー領域の方は「薬の必要性や緊急性」がないことに気がつくことが多く、コロナ禍を機会に転職を決意された方もいらっしゃるかと思います。
コロナ禍で多くのMRが自社製品の「製品力のなさ」や「パイプラインの気弱さ」、「MRの存在意義のなさ」から「転職した方が良いのかな・・」と自問自答されたことと存じます。
しかしコロナでも安泰だといわれている製薬会社でも、社員の間には先行きの不安さが心配されます。
「こんな先行き不安定な時に転職なんてリスキーだ!」と心配の声もありますが、立派に転職を果たした方がおります。
その方はまさにコロナ禍でプライマリー領域に限界を感じて転職を決意されました。その方のプリフィールをご紹介致します。
名前:YLさん(30代前半)
前職:国内準大手製薬会社MR
現職:外資系バイオ製薬会社MR
それでは以下コロナ禍での転職活動の内容や、前職での引き継ぎ内容についてご紹介致します。
コロナ禍での転職活動の内容
国内準大手製薬会社に新卒から8年MRとして勤めたYLさんは、地方の基幹病院や開業医でのMR経験を経て、その後首都圏に異動となり、基幹病院を担当するという、MRとしては順調なステップを歩んでおりました。
新型コロナウイルスの感染拡大前までYLさんは順風満帆なMR人生を送っており、転職など全く考えてもおりませんでしたが、テレワークとなり活動が制限される中で会社の将来性を不安視し、転職活動を開始致します。
とは言ってもコロナ禍で先行き不透明な今、ガツガツ転職活動を行っていた訳ではありません。
YLさんは複数の転職サイトには登録しており、いくつかの求人があったものの実際に面接にまで至ったこともありませんでした。
しかしコロナ禍の真っ只中の緊急事態宣言中に、日頃のYLさんの熱心かつ個性的な活動内容を良く見ていた外資系バイオ製薬会社のMRからお声掛けがありました。
皆様ご存知の通り、転職エージェントを通すよりは社員紹介の方が遥かに合格率が高くなります。
バイオ医薬品の魅力を伝えられたYLさんは、コロナ禍で先行き不安定な状況の中、バイオ医薬品メーカーでの将来性とやりがいに魅力を感じ、外資系バイオ製薬会社を受けてみる決心を固めました。
コロナ禍でも転職活動をしている人はしておりますし、見ている人はキチンとデキるMRを見ております。
今在籍している会社の将来に不安を抱えながらも、今出来る最大限のことを工夫しながら実行されているMRの方には、必ず良いことがやって参ります。YLさんはまさにそういった事例かと思います。
コロナ禍での採用面接は全てWebで
外資系バイオ製薬会社を受けてみる決心を固めたYLさんですが、コロナ禍での採用面接は全てWeb面談によるものでした。
従来は面接となるとコソコソと有給休暇を取得して、東京や大阪にある製薬会社本社へ直接面接に行かなければなりませんでした。
しかしコロナ禍ではWeb面談で移動時間を考慮しなくて良いから、時間の効率化や感染リスクを抑えることが出来るというメリットもあります。
YLさんによると、直接の対面面接でないと臨場感がなく、実際の人間性などが見えにくいと仰ってました。
しかし面接する側もされる側も時間を効率的に使えることから、Webによる面談は今後普及していくでしょう。
コロナ禍での引き継ぎは?
さてコロナ禍でまだまだ訪問規制が多い中「一体どうやって引き継ぎを行うのか?」ということについて疑問に思われる方も多いのではないでしょうか?
YLさんが前職で担当していたのはGP(開業医)とHP(病院)が半々でした。コロナ禍でも開業医の先生方は面会が再開した先が多く、直接面会で引き継ぎが出来たそうです。
しかし病院は全国的にまだまだ訪問規制を敷いている先が多く、ほぼ100%直接面会は出来なかったそうです。
病院での引継ぎ方法は三パターンあったそうです。
①お手紙で担当交代を伝える
②メールで担当交代を伝える
③オンライン(Web・リモート)で引き継ぎ面会を行う
実際には①と②がほとんどだったそうですが、コロナ禍での引継ぎはやはり上手くかなかったようです。
内資系メーカーを中心に4月担当交代になっていたMRの方も多いのではないでしょうか? 4月に担当交代にはなったけど引き継ぎが出来ていない、されていないというMRの方も多いと聞いております。
今後はオンラインによる面会や引継ぎも「ニューノーマル」になるでしょう。すでに多くの製薬会社でリモートツールを導入しておりますが、アフターコロナで初めて導入し始めた製薬会社もあります。
そんな製薬会社は、「ニューノーマル」になるリモートツールの拡充を急ぐ必要があるでしょう。
私が在籍する製薬会社では3・4年前からデジタルやリモートをいち早く導入しておりました。正直デジタルやリモートについてはある程度熟知していると自負しております。
デジタルやリモートを駆使したアプローチや面会について記事を書いてますので、ぜひ引き継ぎの際に参考にして頂ければ幸いです。
コロナ禍での入社式や研修は?
すでに外資系バイオ製薬会社への転職を果たしているYLさんですが、コロナ禍での入社式やその後の研修について伺いました。
すでに入社前には配属地が発表となり、入社日当日は本社で入社式を行うことはなく、配属地からWebで社長や人事からのメッセージを視聴したそうです。
また研修も配属地の会議室や自宅でリモートにて行われているようです。
4月以降に新卒入社した方に関しても、どの製薬会社も同様にWebにて入社式や研修が行われているようです。しかしコロナ禍とはいえ、同期に「一度もあったことがない」というのもなんとも寂しい話です。
私は今まで4回転職をしましたが、同期の存在とは掛け替えの無いものです。入社式から数ヶ月に及ぶ研修を毎日のように過ごしていると、友人とは違う関係性を築くことが出来ます。
今でも各社の同期数人とはお付き合いをしてますし、いつも人生相談などもしてます。そんな同期とWeb上でしか繋がれないというのは何か寂しいですよね。コロナ禍で人付き合いも大きく変化しそうです。
製薬会社MR コロナ禍での転職と引き継ぎの実際!まとめ
コロナ禍でハイリスクと言われている転職活動をし、無事にキャリアアップを果たしたYLさん。
コロナ禍はリスクではなく、むしろチャンスなのでは無いでしょうか。コロナ禍での面接で必ず聞かれるのが「テレワーク期間中何をしてましたか?」です。
「コロナ禍でもやれることをやる!」「コロナ禍をチャンスと捉え、他のMRにこれを機会に差をつける!」という意気込み、そして行動を起こすことで、MRとしての存在価値を示すことも出来ます。
コロナ禍で一生懸命活動して「あれ?うちの会社の薬、世の中から必要とされていないな・・」と気が付いたら転職のきっかけかもしれません。
コロナ禍でもチャンスを得るために、ぜひ他社MRとは繋がりを持っておくことをおすすめ致します。SNSやオンライン飲み会でも良いです。YLさんのようにチャンスは突然訪れます。
転職は突然タイミングが訪れます。まだまだ長期化しそうなアフターコロナで今一度ご自身の「やりがい」を考えてみましょう。
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