ファイザーが2019年10月上旬に早期退職(リストラ)を行うことが業界誌「ミクス」で発表になりました。
業界のリーディングカンパニーとして医薬品業界のトップをひた走ってきたファイザーに何があったのでしょうか?ファイザーは2007年にも大規模なリストラをやったことで、当時はその非情なやり方が業界内で物議を醸してました。今回もその早期退職(リストラ)の内容が、今まで早期退職(リストラ)を行なってきた会社と比較しても、あまりにも縛りが多いのが特徴です。
今まで医薬品業界の待遇の良さに甘えてきた方は多いはずです。「製薬会社に勤めていれば将来安泰」「不況に左右されない業界」というのはもはや過去の話です。会社は個人の終身雇用は守ってくれず、もはや自分の身は自分で守らなければならない時代になりました。今回のファイザーの早期退職(リストラ)の内容を見ながら、製薬会社MRの未来について改めて考えてみたいと思います。
ファイザー早期退職(リストラ)の中身とは?
ミクスによると「今回リストラを行う要因としては、18年度の薬価制度抜本改革で新薬創出等加算の要件が厳しくなったこと、19年度から実質的に薬価の毎年改定も行われること。ファイザーはこれまで採用抑制や自然減で対応してきたが、市場環境の変化スピードとその厳しさが想定以上のため、早期退職者を募り、コスト構造改革を行う必要があると判断した」とのことです。ファイザー規模の会社でこうなのですから、今後リストラの波は業界全体に広がっていくことは間違い有りません。
早期退職(リストラ)対象は50歳以上の営業担当者(MR)で、10月上旬から募集を開始し、退社日は11月30日付。通常の退職金に割増退職金を上乗せし転職支援を行い、募集人数は200人弱程度となっております。ここまでは今まで製薬会社各社で行われたリストラ要綱と変わりありませんが、衝撃的だったのがここからです。
ミクスによると、「割増退職金は年収ベースで4年分以上を支給する。会社が指定する競合会社に退職後3年以内に転職した場合、割増退職金の返還を求める新ルールも実施。これまでに培った専門スキルを3年間活かせない場合を想定し、割増退職金を厚くした。オンコロジー部門担当者はMSDやノバルティスファーマなどに転職した場合、希少疾病用医薬品担当者はアルナイラムジャパンに転職した場合、割増退職金の返還を求める」と有ります。
要するにノウハウ流出防止のため、同種同行品を扱う競合他社へ転職を許さないというものです。
さらにミクスによると「割増退職金の上乗せもある早期退職者募集のスキームで、ファイザーで得たより専門的な知識やノウハウ、戦略のたて方が競合他社に流出しないようにする措置のようだ」ともあります。
私は過去4回の転職歴がありますが、たしかに「自社で得た社内情報を他社へ漏洩しないように」という念書は辞める際に何処も書かされましたが、競合他社に転職するのが当たり前の業界で、かつ前職の経験を生かすのが転職の良さでも有るのに、今回のファイザーの措置は日本における人材育成という観点からもそれをもぶち壊す内容となってます。
「割増退職金も4年以上支給」と過去リストラを断行した製薬会社と比べてもそこまで突出して高いものでは有りません。3年間も競合他社で働けずに、ただ人財をぶち壊しにかかっているとしか言いようが有りません。
ファイザーの将来性は?
そんなファイザーの未来はどうなっているのでしょうか?ファイザーといえば過去は高血圧治療薬「ノルバスク」や高脂血症治療薬「リピトール」、最近では疼痛治療薬「リリカ」や抗凝固薬「エリキュース」で一斉を風靡したメーカーです。一時期は業界未経験者も含めて大量の中途社員を採用していた時期もありました。そんな日本の医薬品業界を引っ張ってきたファイザーのパイプラインを日本製薬工業協会ホームページから開発品の一覧を見てみましょう。
パイプラインを見た所、やはり他社同様にオンコロジー領域の製品が豊富に存在致します。しかし業界にお勤めの方ならご存知の通り、ファイザーは自社品の割合が極端に少なく、主力品のほとんどが買収したバイオベンチャーが開発した薬剤です。自社で薬を生み出せない所と、医薬品業界を取り巻く環境の変化が今回の早期退職(リストラ)につながったと考えられます。
もはや自分の身は自分で守らなければならない!今すぐやるべき対策!
今回のファイザーのリストラ(早期退職)は50歳以上の営業職が対象で、まだ少しは他社への受け皿がある希少疾病やオンコロジーのMRは、競合他社へ転職した際には退職割戻金を支給しないという前代未聞の内容となってます。正直50歳以上でMRしかやったことのない方にとってはこのリストラの内容だと前途多難です。しかも今回の募集人数は200人程度とのことですので、50歳以上の営業職の方には相当厳しい仕打ちが待っていることが予測されます。
ファイザーにお勤めの50歳以上の営業職の方に限らず、今後はこのような条件のリストラが他社で行われる可能性はかなり高まることが懸念されます。もはや将来安泰で終身雇用が約束されていた製薬会社でも、終身雇用は崩壊したと言えます。自分の身は自分で守らなければなりません。そのためにも当ブログでは再三にわたって「いざ自分の会社からリストラが発表された時に路頭に迷わないための対策」を述べて参りました。
今からでもリストラ対策は遅くありません。ハッ!と思った方は自分の身とご家族を守るために今すぐ行動を起こしましょう。そのためのリストラ対策については、過去に記事を書いてますので、いざという時に路頭に迷う前に下記の項目を今すぐ実行に移しましょう!
今すぐ転職サイト・エージョントに登録する!
もはやこのご時世、この業界にお勤めの方なら転職サイト・エージェントに1つでも登録されているのが当たり前と言えます。転職サイト・エージェントに登録することはリストラ対策でもありますが、ご自身の市場価値を知ることと、ご自身の新たな可能性を見出せるというメリットもあります。様々な第三者の声を聞くためにも複数社登録されることを強くおすすめ致します。私も常に4.5社の転職サイト・エージェントに登録をしております。
製薬会社におすすめの転職サイトについては、こちらの記事で紹介してますので、ぜひお役立てください↓↓
「ミイダス」で自分の市場価値を知る! 他業種も視野に入れる!
最近こんな転職サイトができました。まずは簡単なアンケートに答えて自分の市場価値やパーソナル診断を行い、今の自分を知った上で転職活動をする。それが「ミイダス」です↓↓
「ミイダス」の適性診断は、ほとんどがプルダウン選択方式で、通常の「転職サイト登録に抵抗がある」方や「まだ転職を考えていないが将来転職には興味がある」方でも気軽に登録でき、「今の自分の強み」を知ることが出来ます。
実際に私も登録して適性診断を行いましたが、10分程度で行えますし、びっくりするほど当たっていました!「今後製薬会社MRでは不安がある」「今はまだないけど今後会社がリストラを行う可能性がある」と言った方は、もしかするとこの製薬業界以外にも「あなたの価値」や「あなたの強み」を必要とし、活かせる場所が他業種にあるかもしれません。そんな貴方の可能性を今から見出しておくことが、リストラ対策にもなるのではないでしょうか?↓↓
どこに行っても使えるスキル(資格)を身に付ける!
いざリストラが断行された時に「MRしかやったことがありません」ではもはや手遅れです。自社に残るとしても、また他社へ転職するにしても「強み」が必要になります。私はいざリストラが行われても潰しがきくように常に「どこに行っても通用するスキル」を身に付けるように自己研鑽に励んでおります。その一つが「どこに行っても使えるスキル(資格)を身に付ける」ことです。
私はここ数年、どこの組織に属しても役に立つ資格を取得致しました。実際に他社へ転職する際にはこれが「強み」となり、大きな自己アピールにも繋がりました。現在は働き方改革が進んだことと、医療機関の訪問規制が強化されたことで、MRのみなさまは以前と比べてかなり時間を持て余していることと思います。そんなスキマ時間を活用して、今のうちにご自身の強みを強化しましょう!製薬会社MRがどこに行っても潰しが効くおすすめの資格について記事を書いてますので、参考にして頂きますと幸いです↓↓
今のうちから副業を始めておく!
いざご自身の会社がリストラを発表して路頭に迷ったとしても、後ろ盾があるのとないのとでは心に大きな余裕が生まれます。今は副業を解禁し、要因する会社が増えてきました。製薬会社MRの方はもともと不動産や株式をされている方が多くいらっしゃいますが、それ以外にも副業をしておくことは、いざという時に大きな後ろ盾にもなりますし、転職して給料が下がったとしても副業で補うことも可能です。
そこでおすすめなのが「アフィリエイト」です。詳しくは記事を書いてますので割愛致しますが、割と世間のビジネスパーソンと比べても収入が高い製薬会社MRだからこそできる副業です。アフィリエイト以外にも今は沢山の副業があります。今のうちに後ろ盾を作っておくことは重要です。製薬会社MRにアフィリエイトがおすすめの理由について記事を書いてますので、ぜひお役立て頂ければ幸いです↓↓
いざという時の助け舟!人脈を形成しておく!
今製薬会社MRは転職氷河期とも言えます。つい数年前まではMR認定証さえ持っていればどこでも転職出来ました。しかし今は一部のバイオベンチャーやオンコロジー領域のMRしか求人がないのが現状です。特に今回のファイザーのように「50歳以上のMR」というのはほぼ受け皿がない状況です。
たとえ転職サイト・エージェントに登録したとしても、よっぽどオピニオンのDrに顔があるとか、特殊な資格を保有している、英語が堪能という能力がない限り、製薬会社MRとしての再就職は厳しいと言わざるを得ません。
そこでいざという時の助け舟となるのが「人脈形成」です。私も過去4回の転職のうち、2回は人脈、いわゆる「コネ」で理想的な転職を果たすことが出来ました。いざという時のために「人脈(コネ)」ほど強いものはありません。そのためにも日頃から業界内で人脈を形成しておく必要があります。人脈形成についても記事を書いてますので、こちらを参考にして頂きますと幸いです↓↓
2019ファイザーリストラ断行へ!自分の身は自分で守る! まとめ
もはや将来安泰と言われた製薬会社であっても会社は個人を守ってくれません。2019年に入っても今まで社員の雇用を守り続けていた内資系中堅製薬会社の鳥居薬品や協和発酵キリンでさえもリストラを発表致しました。パイプラインが豊富な会社であっても世の中の情勢が凄まじいスピードで変化している昨今、必ずしも安泰とは言えません。
今の会社に残る選択をしたとしても、また競合他社や他業界へ転職するにしても、どこに行っても通用するスキルと強みを身につけておく必要があります。気がついた今のうちから自分の市場価値を高めて、いざという時のための備えを早速始めましょう!
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