コロナ禍の今、会社から早期退職(リストラ)が発表されたとしたら・・あなたならどう決断をくだしますか?
2020年に入り新型コロナウイルスが全国に蔓延。世間も製薬会社MRも仕事を取り巻く環境が激変致しました。
特に医療機関への訪問がお仕事の製薬会社MRは、医療機関からの訪問規制強化によって仕事を奪われ、テレワークへと移行。そしてMRのアプローチツールはデジタルやリモートが主流となりつつあります。
そして各社「医療機関を回らなくても売り上げは変わらない」との判断と昨今の医薬品業界を取り巻く環境の変化(薬価制度抜本改革とジェネリック医薬品の普及など)から「MR不要論」が取り沙汰されております。
コロナ禍で日本ケミファと武田薬品、そして今までリストラを断行してことのない日本イーライリリー でさえも早期退職(リストラ)を断行致しました。
製薬業界以外に目を向けても、コロナの影響が色濃く出てます。東京商工リサーチによると2020年10月29日までに上場企業の早期・希望退職者募集が72社に達したとあります。
また募集人数も、判明分だけで1万4095人を数え、2019年通年(1万1351人)をすでに上回ったことが下記グラフでも示されております。この状況は製薬業界だけではないことが見て取れます。
※出典:東京商工リサーチ(https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20201030_04.html)
コロナ禍で製薬会社MRの医療機関への訪問が自粛される中、「MRとしての存在価値」や「今の製薬会社の存在価値」の必要性について考えさせられた方も多かったと存じます。
「今後MRって必要なのだろうか・・」「プライマリー薬中心の会社って必要なのだろうか・・」と自問自答し、「転職」という言葉が頭をよぎった方も少なくないかと存じます。
今後製薬会社の早期退職(リストラ)は加速することが予測されます。しかし早期退職(リストラ)が断行された際、特別退職金の額に目が眩み決断を早まるのは、就職難のコロナ禍ではリスクを伴います。
前置きが長くなってしまいましたが、「コロナ禍での早期退職(リストラ)の判断基準」について実際私のリストラ体験談から皆様にアドバイスをさせて頂きます。
コロナ禍での早期退職(リストラ)はハイリスク
2019年から2020年にかけて多くの製薬会社でリストラ(早期退職)が断行されました。リストラで会社をさられた方の中には、退職の意にそぐわない形で辞められた方も多くいらっしゃることとお察し致します。
上記の期間で辞められた方からよく聞かれるのが「なかなか再就職が決まらない」「MR職はほぼなし」と言った話です。
MR認定センターの「2020年版MR白書」によると、2020年3月31日時点のMR数は5万7158人となり、前年に比べて2742人減少した、とあります。
ただでさえMR需要が減っている中、2020年2月以降のコロナ禍で益々MRの需要は減ると予測されます。
コロナ禍以降では日本ケミファ、武田薬品、日本イーライリリー がリストラを断行致しました。企業がリストラを断行する時にはすでに辞めて欲しい人のリストラアップは終わってしまっていると言う話は以前記事で書かせて頂きました。
いざリストラが断行され、肩叩きされた時には「時すでにおそし」です。ただしその時に、下記にご紹介する条件で手挙げをするのはコロナ禍においては時期尚早です。
正直MRの待遇や就業環境を考えても、コロナ禍で早期退職に手挙げするのは非常にリスクが大きいと言えます。ただ会社はあの手この手で「辞めて欲しい人」へ退職への口述を押し付けてきます。
特別退職金の金額に目が眩んではいけない
在職期間によって上積みされる「特別退職金」の金額を提示された時に、誰しもがその見たこともない金額に目が眩むと言います。中には1億円近い金額を目にしたという方もおりました。
私が以前在籍した会社で早期退職を行った時には私の在籍期間が短かったため、大した金額ではなく、全く目も眩みませんでしたが、それでも数年在籍していただけなのに年収分くらいの「特別退職金」の金額が提示されました。
「この金額なら辞めてしばらく職が決まらなくても大丈夫だろう」「この金額を手に一気に株に投資しよう」「60歳定年退職までこの金額なら職がなくても暮らしていけるだろう」などと悠々自適に構えている方は少なくありません。
しかしそれらの方のその後はというと、全く幸せなではありません。「こんなに長い期間、職が決まらないなんて思ってもいなかった」という方が大半です。
そもそも65歳から年金が支給されるか分からないご時世に「特別退職金でしばらく暮らしていけるだろう」という考え方自体が間違っているのです。
きちんとキャリアプランや老後の道筋が見えているのなら早期退職に手挙げるすることに多いに賛成ですが、コロナ禍で世の中の先行きが不透明な今、「特別退職金」の金額だけに目が眩んではいけません。
怒りまかせに辞表を叩きつけてはいけない
当ブログでも再三申し上げておりますが、企業がリストラを断行する半年前にはすでに「リストラ要員」の選別は始まっております。
ですので企業からリストラが発表された時にはすでに「肩叩きされる方」というのは決まっております。
しかしここで上司から「退職勧告」されて怒りまかせに辞表を叩きつけてはいけません。上記でご紹介した「特別退職金の金額に目が眩む方」の次に多いのが「怒りまかせに辞表を叩きつける方」です。
肩叩きされたからと言って必ずしも応募する必要はありません。「怒りまかせに辞表を叩きつけた方」はその後会社との間にしこりが残るのはもちろん、良い転職を果たしたという話は聞いたことがありません。
それはなぜか?「怒りまかせに辞表を叩きつけた方」は「キャリアステップ」が退職の理由ではないため、転職活動中に面接官にそこを見抜かれてしまうからです。
コロナ禍で他業種のリストラも進む中、面接時に冷静に対応し、ポジティブに考えるようしましょう。怒りまかせに辞表は絶対に叩きつけてはいけません。
チャンスがあれば「転職」するべし! 将来性のある製薬会社社員からの紹介が一番ベスト!
当ブログでも再三申し上げておりますが、「転職とはタイミング」です。早期退職の応募と同時に理想的な転職を果たした方というのは、私が数々の製薬会社社員とMRを見てきた中では二人だけです。
そのお二人というのは、会社が早期退職を行う前から、リストラを行う雰囲気をいち早く察知しており、誰よりも早く転職活動を開始されておりました。
会社が早期退職を行った時に多額の特別退職金を手に、タイミングよく希望する会社に転職することが出来たという方です。
ただそんな方はほとんど稀です。万全を期していたと自負する私も会社が早期退職を行った時に転職することが出来ませんでした。
ただ私は運良く、会社がリストラを断行した後に今の会社にお声かけ頂き、理想の転職を果たすことが出来ました。
特別退職金を他にすることは出来ませんでしたが、今は素晴らしい環境とやりがいを持って仕事をすることが出来ております。特別退職金の差額は後でいくらでも取り返せるはずです。
なので私が一押しなのは「将来性のある製薬会社社員から紹介してもらう」ことです。そのためには日頃からの人脈形成が必要です。
他社MRもそうですし、同じ会社の上層部の方ともコンタクトを持っておくことをおすすめ致します。今はSNSでも簡単に繋がることが出来ます。
ただフォローするだけではなく、時たまコメントするだけでも相手は親近感を持ってくれ、ゆくゆくはお声かけいただけるなんてことは、狭い業界内では良くあることです。現に私がそうでしたから。
製薬業界内での人脈形成術については、別の記事で書いてますので、ぜひ参考にしてみてください!
製薬会社から他業種への転職は要注意!
早期退職(リストラ)を機会に、他業種への転職を検討される方もいらっしゃるかと思います。
しかし製薬会社社員から他業種への転職へは注意が必要です。それは給与面と福利厚生、そして自由度が極端に減る点です。
製薬会社社員から他業種に転職して待遇面や福利厚生面で苦労しないのは保険業界だけだというのが私が見てきた見解です。
ただし保険業界はMRのようにルートセールスではなく、最初は新規開拓だけになります。新規開拓に慣れていないMRには結構厳しい現実が待ち受けております。
また保険業界以外にも営業職での転職をお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、製薬会社ほどの待遇面・福利厚生面に恵まれているところは皆無と言って良いでしょう。
私自身は給与面よりもやりがいに重きを置いておりますが、それでもある程度保証された待遇面と福利厚生面は家族にとっても安心だと思います。
ご自身がやりがいに満ち溢れていても、周りの家族が不幸になってしまったら元も子もありません。やりがい以外にもトータル面で良く考えてから他業種への転職を考えるべきです。
リストラ(早期退職)対策は万全に!今MR求人が一番多い転職サイトは?
会社がリストラの予兆を感じたらいち早く行うべきなのが「転職サイトに登録すること」です。
「転職サイト」に登録するメリットとしては、
①いち早く自分の強みを知る
②いち早く自分の市場価値を知る
③いち早く優良な求人に公募できる
ことが挙げられます。
数々の転職サイトに登録することで、各エージェントから様々な意見を頂くことも出来ます。
しかし転職するにしても「今よりは年収や就労環境は落としたくない」もの。特にMR職は他業種に比べても給料が高く、福利厚生も抜群に恵まれていることが、転職サイトに登録することによって良くわかると思います。
できれば製薬会社での勤務を続けたいものですよね。そこで複数社と登録している私が「コロナ禍でも製薬会社の求人が多いサイト」を三つほどご紹介致します。
●JACリクルートメント
現在パイプラインが豊富なのが圧倒的に外資系製薬会社です。そして求人も圧倒的に外資系の方が多いです。そんな中、常に外資系製薬会社の求人が豊富なのが「JACリクルートメント」です。
今後製薬会社で働き続けたのなら、絶対に外資系の方がパイプラインも豊富で息が長いと、私も実感しております。
また長いこと内資系にお勤めの方は「外資系はドライ」だと良く仰いますが、両方を経験した私から言わせると「会社が変わっただけでやっていることと雰囲気は同じ」です。
しかもコロナ禍で内資系外資系かかわらず厳しい状況ですので、どちらがドライなんてのはもう存在しないと思います。製薬業界で働き続けたいのなら、ぜひ登録しておきましょう。
●MR.BiZ
MR.BiZはその名の通り「MRの求人に特化した転職サイト」です。
MRや業界関係者の方ならどなたでも一度は目にしたことがある「AnswersNews」も手掛けている会社です。
MRからMRへの転職はもちろん、MRから本社他部門などへの転職求人もありますので、製薬業界内でのキャリアを気付きたい方におすすめの転職サイトです。
●名刺登録アプリ「Eight」
最近転職サイト以外に製薬業界での求人を目にする機会が増えてきたのが多くの方が利用している名刺登録アプリ「Eight」による転職求人です。
「Eight」は名刺の一元管理昨日だけではなく、企業名をクリックするとそこから求人情報が掲載されていることがあります。そこで思いがけない求人に出会えるかもしれません。
最近では外資系製薬会社を中心に求人情報が掲載されておりますので、気になる製薬会社名をクリックしてみてください。あとは名刺アプリのご自身のキャリアを事細かく入力するようにしましょう。
コロナ禍での早期退職応募への判断は?リストラ体験者が語る判断基準とは? まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大で先行き不安定な日本国内。好不況に影響されないと言われる製薬業界も超高齢化社会の到来に伴い、薬価制度抜本改革やジェネリック医薬品の普及などによって大きな打撃を受けております。
そして2020年に入り、ノバルティスファーマのオンコロジー部隊、日本ケミファ、武田薬品、日本イーライリリーがリストラを断行致しました。
この製薬業界のリストラの流れは当面続くことが予測されます。しかしコロナで他での働き口が少ない今、特別退職金に目が眩むことや、怒りまかせに辞表を叩きつけることは、退職後にリスクが伴います。
ただチャンスがあれば、他社に転職するのもアリかと思います。ただ新薬が先細りの今、将来性(パイプラインがある)がある会社どうかの見極めは重要です。
コロナ禍でいつどの製薬会社でもリストラが断行されてもおかしくない状況です。リストラで肩叩きされないためにも備えを万全にしましょう。
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