2020年8月にMRを中心に大規模なリストラ(早期退職)を断行した武田薬品工業が、今度は管理部門の一部で募集を開始されたことが日本経済新聞に掲載されました。
武田薬品の管理部門を対象としたリストラ断行の噂は、2021年9月の段階でダイヤモンドオンラインが大きく取り上げておりました。
昨年2020年8月に続き、2年連続となるリストラを断行した武田薬品。近年あまりにも多くの製薬会社がリストラを断行し過ぎいて、大きな驚きはありませんが、製薬会社にお勤めの方は全員が「いつリストラにあってもおかしくない状況」だと思わなければいけません。
武田薬品の2年連続のリストラ断行から見た今後の製薬業界の行き先について、私のリストラ体験を元に考察して参ります。
2021年12月武田薬品 リストラ(希望退職)の概要
2021年12月に発表された武田薬品工業の現時点で判明している希望退職の概要は以下の通りです。
対象者:日本で財務や原材料の調達部門の支援業務を担当する管理部門に在籍する社員
対象年齢:42歳以上で勤続3年以上の社員
募集人数:上限は設けない
募集期間:すでに終了していると思われる
退職日:2021年12月末
条件:従来の退職金に加えて、特別加算退職金も支給
以上が日本経済新聞から抜粋した内容になりますが、退職日が2021年12月末でこのタイミングでの発表ということは、「希望する社員の面接を始めた」とあるものの、すでに終了している可能性が高いです。
また「募集人数の上限は設けない」と言いつつも、リストラ断行の際には必ず「ノルマ」があり、リストラ断行の半年前からはすでに「リストラ要員」の選定も始まっております。
なので「希望退職」とは聞こえが良いものの、現実は「リストラ」であり、「辞めてもらいたい社員」に対して「辞めます」というまで執拗な面接が繰り返し行われることとなります。
実際に私自身、リストラの生現場を目撃した体験があります。その時の様子を記事に収めておりますので、参考にしてください↓
コロナ禍でMRも内勤部門も今後はリストラが進む?
2020年以降、コロナ禍で業績不振に陥った企業が次々とリストラを発表しております。下記は東京商工リサーチが2021年1ー月から10月までにリストラを断行した一部樹上企業72社を業種別に円グラフにしたものです。
出典:東京商工リサーチ https://www.tsr-net.co.jp/image.jsp?id=29340
そして人数に目を移してみると、2020年以降希望・早期退職(リストラ)の人数としてはリーマンショックに次ぐ多さとなっております。
出典:東京商工リサーチ https://www.tsr-net.co.jp/image.jsp?id=29342
今回リストラ断行を発表した武田薬品の21年3月末時点の従業員数が19年3月末から2500人減の4万7000人まで減少していることからも、今後製薬業界全体の人数はMR・本社内勤者含めて大きく減少していくでしょう。
特にコロナ禍でも売上が大きく変わらないことに気がついてしまった製薬会社各社は一番コストのかかるMRを減少、MRが少なくなるということは、それをサポートする本社スタッフもいらないということにもなります。
コロナ禍前まではリストラを断行した製薬会社の多くがMRにスポットを当てておりましたが、アフターコロナではMR以外にも本社内勤者にもリストラが迫っていることを突きつけたのが、2021年12月発表の武田薬品のリストラでした。
「本社での経験は生きる」ということを私は当ブログで何度も申し上げて参りました。しかしコロナ禍ではそれ自体も通用しなくなってきており、更なる付加価値が必要な時代となりました。
出世意欲のない方はすぐにリストラの対象に
リストラ時代に企業にとって一番辞めてもらいたい人物は「出世意欲のない」向上心のない方です。
「自分は今のままで良い」「このまま今の担当地盤でのんびりとMRをやって居られれば良い」などと呑気なことを言って居られる時代では無くなりました。
2018年に始まった薬価制度抜本改革、ジェネリック国策化80%、地域フォーミュラリー、などで製薬業界の未来を見いだせない方も多いこととお察し致します。
私も正直「10年後のキャリアプランをだせ」と言われても、将来が描けないほど、先行きが不安な業界となってしまいました。
それでも「この会社で支店長になりたい!」「他の部署に言って自分の経験を生かしたい」などと言っておかなければ「リストラ要員」になってしまいます。これは私のリストラ体験談から言えることです。
リストラの選定はリストラ断行の半年前から黙々と練られております。たとえ将来の展望を描けなくても「やる気」があることを日頃から上長に熱弁しておくと良いでしょう。
ちょっとしたネガティブな一言が「リストラ要員」になってしまう可能性がありますので、今のご時世、日頃の言動には注意しましょう。
デジタルに抵抗があり、いまだに対面を求める時代錯誤な方もリストラ対象に
2021年12月に発表された武田薬品リストラでは「管理部門をデジタル技術やデータを駆使した専門性の高い機能を担う組織へ転換する」とあります。
MRのデジタル化はもちろん、コロナ禍で内勤部門の「デジタル化」も急速に拡大しており、AIの発達もあり、本社内勤部門とはいえ、従来のような人員が必要では無くなりました。
MRでも最近はどの企業も「バーチャルMR」や「e-MR」など、勤務地に拘ることなくリモートでいつでもどこでも医師や薬剤師の求めに応じて対応するMRへの転籍が増えてきております。
なのでMRも本社内勤部門にお勤めの方全てが「デジタル」に発想転換させなくてはいけません。さすがにイアmの時点でコロナ禍から各製薬会社で普及し始めていた「デジタル」に難色を示す方は少数かと思いますが・・
今まで以上に付加価値をプラスした「デジタル」スキルを身に付けなければ「リストラ要員」になることは避けられません。
実際にリストラの生現場を体験した私が「実際に肩たたきされた方はどのような方か?」を記事に残しております。今後「リストラ要員」にならないために、ぜひ参考にして頂けますと幸いです↓
スキマ時間で何処に行っても使える資格の勉強をする
スキマ時間に「資格を取得して多様性を高めましょう」とは、以前から申し上げて参りました。
私は過去4回の転職歴があり、最後に転職したのがちょうどコロナが流行する前でした。ただその時にも今保持しているいくつかの資格が「採用を勝ち取る」のに大きく寄与致しました。
ましてやコロナ禍で2021年12月現在でも多くのクリニックや病院に訪問規制が敷かれ、MRによっては「今日は1軒も訪問しなかった」なんて日はあるでしょう。
また本社内勤部門の方もテレワークの普及によって「朝から晩まで机に座りっぱなし」なんてことは無くなったことでしょう。
なのでスキマに勉強する時間なんていくらでもあるわけです。この「スキマ時間」を黙って自由に好き放題して過ごし「リストラ」を迎えるのと、来るべきリストラに備えてしっかり勉強して複数の資格を取得していた、のでは雲泥の差となります。
現在製薬業界にお勤めの方は、全員が「今すぐリストラの憂き目にあう」リストラのリスクを背負っていると言っても過言ではありません。
会社に残るにしても、他社に転職するにしても「武器が必要」になります。その武器が「資格」なのです。
ただ「資格ホルダー」になってはいけません。その資格を活かせなければ意味がありませんので、過去将来にわたっても使える資格を取得しましょう。
ではどのような資格を取得すれば良いのか?ということでお悩みの方のために、「何処に行っても使える資格」について記事を書いてます。もちろん私も取得している資格になりますのでぜひ参考にしてみてください↓
2021武田薬品が管理部門の希望退職発表!もはや製薬業界のリストラは当たり前の時代に まとめ
2021年も師走になりましたが、今年も多くの製薬会社でリストラ断行のニュースがありました。
ただ外資系を中心にリストラは断行したものの、公にしていない会社もあり、実際には公表されている以上にもっと多くの製薬会社でリストラが断行されております。
武田薬品やアステラス製薬でリストラが何度も断行されておりますので、今まで社員の雇用を必死に守ってきた国内中堅製薬会社からも今後はリストラが発表されるのではと、私は推測します。
パイプラインが潤沢なノバルティスファーマでさえもリストラを何度も断行しておりますので、パイプラインが豊富だからといって油断は大敵です。
いつ自分の身にリストラが降りかかってきても良いように、上記でご紹介した自分の身は自分で守る準備は常にしておきましょう。
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