新型コロナウイルスの感染拡大から始まり、収束を迎えることなく第三波真っ只中で終わってしまった2020年。
今まであまり好不況の影響を受けなかった製薬業界ですら、医療機関に直接影響が出た新型コロナウイルスはMRの営業スタイルに大きな影響を及ぼしました。
そして2020年はコロナ禍で製薬会社の様々な物を顕在化してくれました。それが「MR不要論」ならぬ「MR過剰論」です。
コロナ禍でリストラを行った製薬会社は「BMS/セルジーン 」に始まり、「ノバルティスファーマ オンコロジー 」「日本ケミファ」「武田薬品」「日本イーライリリー 」と内資外資、そして製薬会社の大小関わらず断行されました。
我々製薬会社に勤める方は、毎年行われる薬価改定、ジェネリック医薬品普及率80%国策化と地域フォーミュラリーの浸透、コロナ禍によるデジタル・リモートの普及と営業スタイルの変化と先行き不透明感で、決して楽しい年末年始を迎えることは出来ません。
東洋経済2020年12月19日号にも「製薬大リストラ」と大々的に報じられております。
東洋経済の内容を見ても、製薬業界の未来が決して明るくないことが良くわかります。
そこで2020年の製薬業界を振り返り、少しでも楽しい年末年始を迎えられるよう今すぐ2021年に向けての対策を考えて参ります。
2020年製薬業界の早期退職(リストラ)を振り返る
2020年も多くの製薬会社で早期退職(リストラ)が断行されました。2020年の製薬会社のリストラで特に衝撃的だったのが「ノバルティスファーマ オンコロジー 」と「武田薬品」、そして「日本イーライリリー 」のリストラです。
製薬業界ではスペシャリティやオンコロジー領域は聖域として「リストラは行われない」今後も生き残っていく領域として、MRの中では神領域として崇められておりました。
しかしその神領域を覆す「ノバルティスファーマ オンコロジー領域」のリストラが断行されました。これによってMRの神領域神話が崩壊し、スペシャリティやオンコロジー領域MRだからと言って安心出来る時代ではなくなったことを意味致しました。
そしてコロナ禍で国内最大手の「武田薬品」のリストラ断行にも業界内に衝撃が走りました。
パイプライン見ても決して先細り感のない武田薬品ですが、それでも業界のリーディンングカンパニーである「武田薬品」がリストラを断行したということは、大手に習え!の製薬業界において、2021年は追随する製薬会社が出ているということを否定出来なくなりました。
さらに外資系大手の「日本イーライリリー 」のリストラも衝撃的でした。というのはパイプラインもそれなりにあり、今までリストラを断行したことのなかった「日本イーライリリー」でさえリストラを断行したことに、業界内で衝撃が走りました。
ウィズコロナがしばらく続きそうな環境下、さらに毎年の薬価改定、ジェネリック医薬品の益々の浸透、地域フォーミュラリーの浸透、ブロックバスターになり得る新薬が生まれにくくなってきている昨今の環境下によって、製薬業界の先行きは不透明です。
2020年リストラを断行した製薬会社を見てみてもパイプラインだけでリストラを決断したとは言えません。今は売り上げ好調でもコロナによって環境が激変し、もはや同じ製薬会社で一生涯を安心して過ごすことは出来ない状況となりました。
小林化工問題でジェネリック医薬品への信頼が揺らぐ
2020年に製薬業界を騒がせたのはリストラだけではありません。
2020年年末に発生した「小林化工問題」 水虫治療薬「イトラコナゾール」にベンゾジアゼピン系睡眠薬・リルマザホン塩酸塩水和物が1錠当たり5mg(通常量の2.5倍)混入し、死亡例まで出たという事件です。
連日マスコミによって報道される内容では「小林化工」が「ジェネリック医薬品の会社」とは報じられておりませんが、今後ジェネリック会社全体に与える影響は大きく、国民・医療従事者からの信頼が揺らぐことは間違いありません。
ただでさえ頭打ち感があるジェネリック業界でしたが、この「小林化工問題」によって国策である「ジェネリック普及率80%」は遠のくでしょう。特に製薬業界で働く私は益々先発品思考になってしまう事案です。
小林化工への行政処分はこれからになります。2021年以降しばらくの間「ジェネリックへの不信感」は続くでしょう。ジェネリックメーカー各社は信頼回復への活動をすることになりそうです。
1社にしがみ付く考えは、もう捨てましょう
2020年に断行された武田薬品のリストラでは500人ほどが、日本イーライリリーのリストラ155人ほどが早期退職に応募されたと言います。
東洋経済2020年12月19日号を見る限り、武田薬品のリストラは40代以降の相当数の方が不用意な「肩叩き」にあったようです。
また日本イーライリリー に関しては、次の転職先を見つけて転職したかった方が、応募要件を満たしているのにも関わらず、「あなたは応募出来ません」と断られたケースがあったと聞きます。
私も実際にリストラの生現場を体験致しましたが、リストラ断行時の会社はドライそのものです。今までの会社の優しい対応が嘘のように変貌致します。その時の体験ブログはこちら↓
私がその時に悟ったのは「結局会社は個人の雇用を守ってくれない。」ということ。今まで会社のために身を粉にして頑張ってきたことが馬鹿らしくなります。
なので「この会社に一生しがみつく」という考えは捨てましょう。どの製薬会社も建前上「働きやすさ」などと綺麗事を言いますが、このご時世で会社はあなたを一生守ろうなんて思っていません。
今はどの製薬会社でもリストラが断行されてもおかしくない状況です。特に生え抜きで1社しか経験のない方は要注意です。いざという時に痛い目に遭います。今すぐ下記にご紹介するリストラへの備えを致しましょう。
デジタル・リモートに続き、2021年に必要なスキルは「SNS」
これだけコロナの感染が拡大し医療機関への訪問規制も続く中、流石にデジタルやリモートをいじった事のないMRの方はいらっしゃらないかと思います。
デジタル・リモートスキルはもはやMRには必須として、2021年はリアル面談に+αデジタル・リモートを駆使した「ハイブリッド型MR」にプラスして必要なスキルはズバリ「SNS」の活用です。
最近懇意にしている先生方数名からは「メールのサイバーテロが起きている」「リモート講演会にも飽きてきた」などのご意見をいただく機会が多くなってきました。先生方の多くはコロナ禍でデジタル・リモートに飽き飽きしてきているのです。
そこで駆使するべきが「SNS」です。SNSの代表的なものとしては「Facebook」や「Instagram」「Twitter」そして日本国内利用者8,000万人を超えたと言われているのが「LINE」です。この三つのSNSのどれか一つはアカウントを持っているという方が大半かと思います。
これら三つのSNSを使って医師とやり取りすることは、ほとんどの会社ではオフィシャルではありません。
しかし「いくらメールを送っても返信がない」「手紙を送ってもレスポンスがない」など、連絡の取りようもない医師や薬剤師に困っているMRの皆さんの強い味方になっているのがSNSなのが実情なのでは無いでしょうか?
先生方も普段目にする機会の多い「SNS」を使ってコンタクトを取る手段として「SNS」はコロナ禍の環境下では最適です。
私も多くの医療関係者と「SNS」を通じてやり取りをさせて頂いておりますが、仕事からプライベートに至るまで「聞きたい事をすぐに聴ける」「レスポンスがもっとも早い」有効なツールとして活用しております。
私は上記でご紹介した全ての「SNS」をフル活用しておりますが、公私で使い分けをしております。下記の表は「Gaiax」という会社がSNSの国内利用者数をまとめた図になります。
出典:https://gaiax-socialmedialab.jp/post-30833/
この図からは「Facebook」の利用者が2,600万人、「instagram」が3,300万人、「Twitter」が4,500万人、「LINE」が8,200万人が利用していることが分かります。
更に「Gaiax」がまとめた年代別のSNS利用率を見て見ると、「Facebook」は40代以降の利用率が高く、「instagram」と「Twitter」は20代以降の利用率が高いことが分かります。
各SNSをどの先生がどのような目的で利用しているのかを事前に把握しなければいけませんが、メールアドレスを無理くり聞き出すよりかは、SNSを活用して趣味の話から導入して、連絡する手段を確保する方が確実に近道です。
「Facebook」は個人的な内容、「instagram」は趣味の写真、「Twitter」は独り言など、それぞれに使い道があります。使い分けや活用方法は営業センスが試されるところです。
ただし何度も申し上げますが、SNSはオフィシャルなものではありません。 中外製薬が導入しているビジネス版LINE「LINE WORKS」のように会社として「SNS」を仕組み化してくれれば、製薬業界としてMRの方のアプローチ方法が画期的に変わると思います。
中外製薬の「LINE WORKS」のように、今後SNSが今のデジタルやリモートのような形になる日は近いかもしれません。その時のために、今のうちにSNSを使いこなしておく必要があります。
「Facebook」「instagram」「Twitter」「LINE」のアカウントを解説していないMRの方は、ぜひこの年末年始でアカウントを開設し、まずは投稿するところから初めてみましょう。
デジタル・リモートに限界を感じているMRの方、ぜひSNSに活路を見出してみませんか。
今すぐ副業に着手するべし!
当ブログでも再三申し上げておりますが、この先行き不透明な時代に「後ろ盾」がないというのは危険極まりないとしか言えません。
「日本イーライリリー 」のリストラのように多少リストラ断行の予兆はあったとは言え、ある日突然リストラ断行の発表があり、次の仕事が決まる前に退職勧奨されて、「後ろ盾」もないままに無職のまま退職してしまう、なんてことは今後往々にして考えられます。
私自身も実際にリストラの生現場を体感致しましたが、同僚の何人かは肩叩きによって退職を余儀なくされ、退職日までに次の仕事も決まらずに路頭に迷う、と行った方を見て参りました。
そんないざという時のための「後ろ盾」のために私がおすすめするのが「副業」です。
これだけ世間が副業解禁を唱い、副業を認める会社も多く出てきている時代に副業に着手しないなんてもったいなさすぎます。ましてやMR業は他の営業職と比較しても圧倒的な自由時間があります。
ただでさえコロナ禍でテレワーク時間が増えた今、副業に費やす時間は十分にあるはずです。朝から晩まで仕事しっぱなしというMRはいないと思います。
実際私も副業に着手しております。当ブログの運営、そして趣味のブログもいくつか運営しております。コロナ禍で外に出る機会が以前よりも減った今、日当が減ったというMRも多いかと思いますが、私はその日当分を補填出来るくらいの副業収入を得てます。
副業に着手することによってコロナ禍の今、日当分の補填にもなりますし、なんと言ってもいざという時に少しでも収入があるというのは、大きな「後ろ盾」にもなります。
ではどのような副業を始めたら良いのか?ということですが、製薬会社MRがスキマ時間に出来るおすすめの副業について、記事を書いてますので、こちらを参考にして頂けますと幸いです。
また副業に対して後ろ向きな方には、下記の新書をお読みになることをお勧め致します。副業に対する意識が一新するかと思います。
「転職サイト・エージェント」には複数社登録する
自分自身の市場価値を見出し、今のご自身の立ち位置や今後のキャリアを再認識するために「転職サイト・エージェント」に登録する、これも私が当ブログで再三申し上げてきたことです。
「転職サイト・エージェント」に登録する目的は、
①ご自身の市場価値を第三者(エージェント)を介して知り、様々な選択肢を用意しておく
②早めに転職活動をすることで、いざという時のために早めに手を打つことが出来る
「転職サイト・エージェント」に登録するということは、自分自身への気づきとリストラ対策です。先行き不透明なこのご時世、流石に「転職サイトに一切登録していない」という方はいらっしゃらないかと思いますが・・
それでもまだまだ「転職サイトには一切登録していない」というMRの方はいらっしゃいます。特に今までリストラを断行した事のない製薬会社、無事に生え抜きで定年退職を迎える方が多い製薬会社勤務の方に多い印象です。
ところが上記でご紹介した「武田薬品」と「日本イーライリリー」でリストラを断行した通り、2020年は今までリストラを断行した事のない製薬会社がリストラを断行致しました。
新薬が生まれにくい構造、特許が切れると一気にジェネリックへの変更、そしてコロナ禍での業績不振による人件費の高騰に気がついた製薬会社各社は「MRが過剰なこと」にようやく気が付いてしまいました。
「MRの人件費」が重荷になってきている製薬会社各社は「武田薬品に右にならえ」で、2021年以降は今までリストラを断行した事のない制約会社で次々とリストラが断行される事でしょう。
特に1社で生え抜きから長いこと勤めていて、かつMRしか業務経験しかないという方は、企業にとって1番の「リストラ要員」です。いざと言う時は突然訪れます。
まだ転職サイト・エージェントに登録していない方は年末年始で登録しましょう。登録は一つではダメです。複数社登録して様々な観点から第三者の意見を聞き、自分の市場価値や可能性を見出しましょう。
ただ「どの転職サイトに登録すれば良いのかわからない・・」という方のために、製薬会社MR向けの転職サイトを下記に簡潔にご紹介致します↓
●サイト側から求人情報が来る「リクナビNEXT」
●外資系製薬会社の求人が多いのが「JACリクルートメント」
●まずは自分の市場価値を見出すことが出来るのが「ミイダス」
●MRの給与体系を変えたくないハイクラスな求人が多い「リクルートダイレクトスカウト」
●20代30代のMRの求人を強化しているのが「マイナビエージェント」
また薬剤師の国家資格を持つMRの方は、リストラを契機に調剤薬局薬剤師への道へ進み、コロナ禍でもMRより遥かにやりがいを感じている方もおられます。
元MRで現在調剤薬局にお勤めの薬剤師の先生にインタビューを行いました。同時に薬剤師MR向けの転職サイトもご紹介しておりますので、薬剤師MRの方はこちらが参考になると思います↓
2020年のコロナ禍の製薬業界を振り返り 2021年からの対策を考える!まとめ
毎年の薬価改定、小林加工によるジェネリック医薬品への信頼が揺らぎかねない問題、そしてコロナによる先行きが見通せない製薬業界。
ただ上記でご紹介致しました通り、2021年以降は今までリストラを断行した事のない製薬会社でリストラが次々と断行されることは間違いありません。
特に2021年薬価改定後にもコロナが続いていたら、製薬会社各社に与えるイメージはより深刻になることが予測されます。
ぜひこの年末年始で現在所属する製薬会社のラインナップを見直し、2021年4月以降の薬価改定による影響を考えてみてください。
それだけでは益々不穏になりますので、「SNS」も極めてください。私は「SNS」が今すぐできる、また唯一MRが生き残るための新たなツールだと考えております。
2021年を良い1年にするために、今後も私の今までのスキルとリストラ経験、そして業界内で人脈を生かして皆様のお役に立てるブログ運営を心がけて参ります。
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