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医療経営士の資格は今後製薬会社のMRに必要か?!

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MRに必要な資格

今何かと製薬業界で話題の「医療経営士」の資格。

 

この資格が出てきた当初は、病院の事務長や直接病院やクリニックのトータルコーディネーターの役割も果たしている医薬品卸MSが取得の主流となっておりました。

しかし近年では製薬会社の社員、またはMR、さらには特約店担当者までもが受験をするようになって参りました。

 

私の身の回りの製薬会社社員やMRでもなんの目的もないまま、時代の流れに流される形で「とりあえず医療経営士を受けようかな〜」と言っている方は少なくありません。

そんな今話題の「医療経営士」ですが、果たしてこれからの時代に製薬会社MRにとって必要な資格なのでしょうか?業界の意向と私の主観も含めて語って参ります。

今話題の「医療経営士」とは? どんな資格?

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医療経営士(いりょうけいえいし)とは、一般社団法人日本医療経営実践協会が、医療機関をマネジメントする上で必要な医療と経営に必要な知識、経営課題を解決する能力を有し、実践的な経営能力を備えた人材に発行する民間資格のことを言います。

また日本医療経営実践協会が提唱している医療経営士とは「医療機関をマネジメントする上で必要な医療および経営に関する知識と、経営課題を解決する能力を有し、実践的な経営能力を備えた人材です。

 

長らく“経営不在”と指摘されてきた医療界において、「医療経営士」は、これからの医療現場を担う重要な人材と位置づけられます。」とあります。

「医療経営士」は1級から3級までそれぞれのカリキュラムを履習し、資格認定試験を合格すると、一般社団法人日本医療経営実践協会から「医療経営士」として認定されます。

 

「医療経営士」として認定されると、日本医療経営実践協会会員として登録する資格が得られ、財務分析、業務改善、リスクマネジメント、地域連携、広報、DPC等の各研究会に参加が可能となります。

また「医療経営士」は公的資格ではありませんが、入会金3万円がかかる上に、会費が1万円、さらには資格の更新料もかかります。

 

更新料は3級が3万円(更新期間2年)、2級が5万円(更新期間3年)と細かくお金を取るのが特徴です。

この更新料がネックとなり、更新を仕方なく諦めてしまうかたが続出していると聞いております。せっかく取得した資格もこれでは本末転倒です。

なぜ製薬会社の社員やMRは「医療経営士」の資格取得を急いでいるのでしょうか?

冒頭でもご紹介致しましたが、「医療経営士」の資格取得はここ数年で大きくクローズアップされて参りました。

 

年に3回の受験機会がありますが、年々受験者数が増え続けており、2010年に実施された第1回目の受験者数は503人だったのに対して、2017年に行われました第22回では過去最高の4,512人に受験者数まで膨らみ、年々3級でも合格率が低くなってきてます(第1回目77.5%、第22回45.1%)

ではなぜこれだけ受験者数が増えているのでしょうか?この試験が始まった当社は病院の事務長や医薬品卸MSが受験の主流でしたが、今では製薬会社の社員やMR、さらには特約店担当者までもが受験するようになったからです。

 

会社によっては、課長以上は昇格の条件として「医療経営士」の資格が必須、という製薬会社もあるほどです。ではなぜ製薬会社各社はこぞって「医療経営士」の資格を取りに急いでいるのでしょうか?

 

その背景には「GEの国策化」や「2年に1度の薬価改定による薬価の引き下げ」「新薬が枯渇し新薬が生まれにくくなってきている」このいくつも現状が交錯することで、「自社品の売り上げを守るための手段」として「医療経営士」の資格を取得させているのです。

病院やクリニックの地域医療連携に貢献し、その恩恵として「売り上げを維持・確保するための手段」が「医療経営士」を取得して差別化することになっているのが現状です。

製薬会社MRの本来の仕事ではない「医療経営士」

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医薬品情報提供以外の付加価値として地域医療連携に貢献する、そのための資格である「医療経営士」 それは果たして医薬情報担当者(MR)の本来の姿なのでしょうか?私はここに大いに疑問を感じております。

2017年7月の業界誌「ミクス」に以下のような記事がありました。

 

「MR認定センターの近澤洋平事務局長は7月9日、都内で開催された第20回日本医薬品情報学会総会・学術大会(JASDI)で講演し、一部の大手製薬企業が医療経営士などの資格取得推進に向けた動きがあることについて、

 

「右へ倣えとやっている気がする。MRとは何なのか」と指摘。

 

「本質的な仕事は、医薬品情報の収集と伝達・提供。これがしっかりできた上で付加価値的なサービスをするのはよいが、経営支援が本質的なサービスになって、その見返りに処方を頂こうというような動きになると、それはMRではない。単なるセールスマンになってしまって、サイエンスの世界から遠ざかって、MRの存在意義がなくなるという危機感をもっている」と述べた。」

 

とありました。

ミクス関連記事↓

MR認定センター・近澤事務局長 医療経営士取得「MRがサイエンスから遠ざかることに危機感」 | ニュース | ミクスOnline

 

私はこの記事に大いに同感してしまいました。医薬情報担当者(MR)と名乗る仕事なのに、経営支援をすることでその見返りとして処方を頂こうとする、行為に疑問を持ちます。

一方の医薬品の卸のMSはマーケティングスペシャリストの略の通り、病院やクリニックの経営支援やトータル的な提案をするのが使命でもありますので、医薬品卸のMSが取得する意義は十分にある資格だと思います。

 

製薬会社各社がこぞって「医療経営士」の資格取得を急ぐ背景にはこのような「製品力低下」による懐事情が垣間見られます。

 

その一方で「製品力」のある製薬会社や将来性(開発品が豊富)のある製薬会社の社員やMRに話を聞くと「医療経営士の資格を取れなんて、言われたこともない」と口を揃えて言います。

彼らはMR(医薬情報担当者)としての責務を全うしているのです。

 

しかし私はMRにとって、この資格を全否定するつもりはありません。医師や薬剤師とお話をする上で、医療情勢や診療報酬などの知識は知っておくべき基本知識だと考えております。

 

ただこの「医療経営士」を処方を取るための手段として疑問視しているだけです。

MRに医療経営士の資格は必要か否か まとめ

製薬各社は「製品力の低下」によって処方を取るための手段として「医療経営士」の資格取得に躍起している現状がお判り頂けたかと思います。

2018年4月の薬価改定による薬価の大幅引き下げや、GE80%の国策化など、今まで一世を風靡した薬剤でさえ「製品力の低下」が見られます。

 

そんな中で「医療経営士」を取得させ、病院やクリニックの地域医療連携に貢献することで、その見返りとして処方を取るという手段は本来の医薬情報担当者(MR)の仕事ではありませんし、「医療経営士」という資格としての本来の姿でもありません。

製薬会社社員やMRの方でも処方を取る手段として「医療経営士」の資格取得を目指しているというなら、考え直すべきだと思います。

 

ただこの資格を取ることで病院経営などの基礎知識をつけて「スキルアップしたい!」という明確な目的があるのであれば、大いに資格を取得するべきだと思います。

ほぼほぼ私の主観で語ってしまいましたが・・製薬会社社員やMRの方々は仕事に対する目的ややりがいには違いがあります。

 

私は「医薬品を通じて、一人でも多くの患者さんを救いたい!自社の良い薬を医師や薬剤師に自信を持って紹介したい!」という思いを常に持っております。

自社品の「製品力が低下」し、「医療経営士」の資格に頼らざるを得なくなった時には、やりがいを見い出せなくなりますので、「転職」のタイミングなのかなと考えております。

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