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2021年スズケン希望退職実施!今後も医薬品卸のリストラは続くのか?

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医薬品卸の内情

医薬品卸大手の「スズケン」が同社と連結子会社3社(サンキ、アスティス、翔薬)で希望退職を実施することが発表されました。

スズケン 連結子会社3社を含む希望退職者の募集開始 投資原資の創出に卸売事業の構造改革が必要と判断 | ニュース | ミクスOnline

 

大手医薬品卸によるリストラ発表は昨年のメディセオ以来約1年ぶりとなります。

2020メディセオリストラで560人が応募!医薬品卸MSの2021年以降の未来を考える!
2020年10月に発表になったメディパルホールディングスのリストラ。3社で560人が応募したことが発表されました。医薬品卸といえども安泰では無くなった今、2021年以降の医薬品卸MSの未来について考えて参ります。

コロナ禍で医薬品業界を取り巻く環境は激変しております。製薬会社はすでにリストラの嵐、医薬品の医療機関への流通を担う「医薬品卸」は安泰かと思われましたが、そうではない様相になって参りました。

今後も医薬品卸のリストラは加速するのでしょうか。元医薬品卸MSと製薬会社でリストラを経験した私の経験値から考えて参ります。

2021年「スズケン」「サンキ」「アスティス」「翔薬」のリストラ概要

2021年スズケン・サンキ、アスティス、翔薬から発表されたリストラ条件は以下の通りです。

 

●対 象 者 :原則として2021年12月31日時点の満年齢が45~59歳の正社員 ※連結対象子会社3社は、各社の規定による

●募集期間 :2021年10月18日~2021年10月29日

●退 職 日:2021年12月31日

●優遇措置:各社所定の退職金規程に基づく支給に加えて、 特別一時金を加算して支給するとともに、希望者には再就職支援を行う

 

と募集人数までは提示されておりませんが、昨年実施したメディセオ含む関連会社のリストラでは3社合計で560人ものMSが応募し退職したことを考えると、それに近い人数が応募することが想定されます。

ちなみにスズケンは過去に何度もリストラを断行しております。過去のリストラでは下記の人数が応募に手上げを致しました。

 

2012年:694人(募集目標人数:500人)

2017年:423人(募集目標人数:350人)

スズケン 希望退職者募集に694人応募 | ニュース | ミクスOnline
スズケン 希望退職者は423人に 当初募集人員上回る 約半数は営業 | ニュース | ミクスOnline

2017年の募集内訳は営業職と内勤職が半々だったようですが、2021年も年齢層を見た時に同じ比率、かつ同程度の人数が応募すると推測します。

 

大手医薬品卸メディセオに続きスズケンがリストラを断行したことで、今後益々医薬品業界でリストラが進むことは避けられない状況とも推測できます。

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医薬品業界を取り巻くコロナ禍での環境の変化

2021年スズケンのリストラ発表前には2022年3月期 第1四半期決算短信がプレスリリースされております。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/9987/tdnet/2010888/00.pdf

スズケンの医薬品事業の売上5,391億円に対し、営業利益がマイナス35億円と、2021年3月期第1四半期と同様にマイナスに転じております。

 

現在の医薬品業界を取り巻く環境としては、2018年11月に発覚したJCHOの談合事件を皮切りに各医薬品卸間で価格競争が激化。その結果スズケンに限らず、どこの卸でも軒並み営業利益率が悪化の一途を辿っております。

価格競争激化に続いて、2021年から始まった「毎年薬価改定」と後発品の出荷調整問題。後発品の出荷調整問題に関しては、ある知り合いMSに確認したところ現段階で7,000品目にものぼるようです。

 

「売り上げは上がらない」「そして利益率は下がる」「給料も上がらない」「仕事量だけは増える」となれば医薬品卸の仕事に対するモチベーションが上がらないのも元MSからしてわからなくもありません。

さらにコロナ禍でも医薬品卸の配送の方やMSは医療機関に出入りしなければならず、医療関係者同様のリスクを背負っているのにもかかわらず、ワクチンも優先摂取対象にもなっておりません。

 

昨今の医薬品業界を取り巻く環境の悪さに加え、コロナ禍が加わったことで、医薬品卸で働く方の環境は良いとは言えない大変過酷な現状です。

アフターコロナでの医薬品卸の展望

コロナ禍で製薬会社MRは「必要なMRと不要なMR」がはっきりと潜在化致しました。一方医薬品卸の配送やMSの方は、コロナ禍でも医療機関に医薬品を安定的に届けるという社会的使命を全うしなければならないかけがえのない存在です。

医薬品卸はコロナ禍でも大災害でも医療機関や患者にとって、絶対に必要な存在なのです。

 

しかしメディセオのリストラの時の記事にも書いたのですが、医薬品卸という会社は必要でも「MSが今まで通りの人数が必要か?」と言えば疑問符が付きます。

 

日本医薬品卸売業連合会のデータによると2020年3月末現在、日本の医薬品卸MS数は16,011人と10年前の2010年の19,767人と比べて3,756人も減ってます。

出典:日本医薬品卸売業連合会ホームページから抜粋 https://www.jpwa.or.jp/jpwa/pdf/graphSuii-j.pdf?20201003

 

一方の医薬品卸全体の従業員数を見てみると2020年3月末では54,647人に対し、2010年は55,556人と909人の減少に留まってます。

 

これはMSの人数は減っているけど、配送やそれ以外の内部の部分(今だとDXに対する部署など)の部署の方が重要視されているということになります。

では医薬品卸MSが生き残っていくにはどうしたら良いのかについて、次の項目でご紹介致します。

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アフターコロナで医薬品卸に求められること

スズケンは競合他社に先駆けて製薬会社のスペシャリティ品目の1社独占を取り付けたことでも有名です。一番話題をさらったのが「キムリア」ですね。

『キムリア』スズケン一社流通から見る今後の製薬会社と医薬品卸
現在注目の新薬!ノバルティスファーマの新たながん治療薬CAR-T細胞療法『キムリア』その製品を取り扱う医薬品卸が「スズケン」1社限定取引となりました。昨年末のノボノルディスクファーマの「取引卸絞り込み」といい、今後「限定卸」の流れは続きそうです。製薬会社と医薬品卸の今後について検証して参ります!

最近MRの間でもスペシャリティ品目の新薬採用に関して「あそこの得意先はスズケンのキュービックスが導入されているからスズケンから採用になる」との話をよく聞くようになりました。

※出典:スズケンホームページから抜粋 https://www.suzuken.co.jp/product/traceabilitysystem/

 

スズケンにはそれくらい得意先にも製薬会社からも認知度が高い「キュービックス」という唯一無二の在庫管理システムを持っています。

 

ちなみにキュービックスとは「RFIDとIoT技術を搭載した専用保管庫により、高額な温度管理医薬品を中心とした医薬品個々の在庫管理や品質管理、入出庫管理、セキュリティ監視のリアルタイム化、自動化を実現するトレーサビリティシステム」のことを言います。

 

もう少し簡単に申し上げますと、「スペシャリティ医薬品の在庫管理や受発注を監視。スズケンの倉庫をまるまる得意先に持って行っている感じ」でしょうか。

「キュービックス」はスズケンが2017年度から導入を開始し、地域の中核病院や専門病院などを中心に2017年度で100 施設を超える医療機関で採用されておりますので、今はもっと増えているでしょう。

 

メディセオのリストラの記事で「今後医薬品卸に求められること」として「スペシェリティやオンコロジーメーカーに選ばれること」と申し上げました。

 

ただこの点について2021年にリストラを断行するスズケンは競合他社よりも先行していると思います。スズケンは「製薬会社に選ばれる医薬品卸」になっていると思います。

ただそんな「製薬会社に選ばれている」スズケンでもリストラを断行するのですから、他の医薬品卸は生き残る術はなんでしょうか?

 

一つはスズケンのように「流通管理システム」を構築することだと思いますが、もう一つはやはりMS力の構築かと思います。

 

今は製薬会社と医薬品卸の立場が完全に逆転していると言っても良いでしょう。今は「製薬会社が医薬品卸を選ぶ時代」です。製薬会社に選ばれるためにはMS力を徹底的に磨く必要があります。

MS力の構築とは「スペシャリティやオンコロジー領域の精通し、MRと台頭に患者背景や製品に関する話ができること」、さらには「デジタルやリモートを駆使した営業活動ができること」です。

 

そのためには医薬品卸はMSの環境整備も大事です。コロナ禍・度重なるリストラ・度重なる後発品の出荷調整問題でMSのモチベーションがガタ落ちです。

 

実になる研修の実施(リアルではなくWeb)や直行直帰(もう一部の医薬品卸では実施されております)を認めるなど、特に若いMSを退職に追い込まない働きやすい環境の整備も同時に必要です。

今後も続く医薬品卸のリストラ対策は万全に!転職サイトには必ず登録しましょう!

とはいっても「スズケン」「サンキ」「アスティス」「翔薬」社員の方は、これから希望退職へ応募される方もいらっしゃるでしょうし、不本意ながらも肩叩きの受け目にあって、退職を余儀なくされる方も出てくるでしょう。

製薬会社MRは現在どこの会社もリストラの危機に瀕していると言っても過言ではありません。なのでほとんどの方が転職サイトに登録して、ネクストステージを模索されております。

 

しかし医薬品卸MSの方は、地元出身者が多く、医薬品卸でリストラに直面された方のほとんどが「まさか自分がリストラになることなどない!」と、丸腰なのでは無かったでしょうか?

 

人口減少、終息の見えないコロナ禍、毎年薬価改定、ジェネリック80%国策化、これまた終息の見えないジェネリックの出荷調整問題などを見ていても製薬会社はもちろん、医薬品卸の今後は決して明るいとは言えません。

メディセオやスズケンがリストラを断行したように今の時代、大手といえども終身雇用は約束されません。会社は個人の雇用なんて守ってくれません。自分の身は自分で守るしかありません。私は前職のリストラ体験でそれを強く実感致しました。

 

今回「スズケン」「サンキ」「アスティス」「翔薬」のリストラでは「再就職支援を実施する」と公表されておりますが、リストラの実現場を経験した私から言わせるとそんなの信用しない方が良いです。

 

基本的に会社は「去るもの追わず」です。再就職支援は第三者機関が行いますので、親身ではありません(中には親身な方もいることを追記させて頂きます・・) ですので自分の身は自分で守らなければならないのです。

医薬品卸のみなさまは転職サイトへ登録されておりますか? 「自分は45歳以上で今まで医薬品卸の経験しかない。転職サイトへ登録したところで他社で拾ってもらえるところなんてない」なんて思っていないでしょうか。

 

次の項目でもご紹介致しますが、医薬品卸での経験はどの職種でも通用するスキルです。製薬会社MRは「製品の売り込み」しかしませんが、医薬品卸MSの方は「売り」「回収」「粗利」の全ての経験があります。製薬会社MRよりはよっぽど間口が広いと言えます。

 

転職サイトに登録することで、ご自身の今後のキャリアや市場価値、そして医薬品卸としての経験がどれだけ世の会社から必要とされているかが分かるかと思います。

さらに現在は定年延長が叫ばれており、70歳まで雇用延長する企業も増えてきております。「45歳以上だから・・」ということは気にせず、ご自身が気づいてきたスキルを武器に自信を持って良いと思います。

 

では医薬品卸の方はどの転職サイトに登録すれば良いのでしょうか? 実際に私が医薬品卸MSから製薬会社MRに転職した時にお世話になったのが、誰しもが知る「リクルートエージェント」です。

リクルートエージェントの登録はこちら 

その時は私は20台半ばでしたし、まだMSからMRへの転職が可能な時代でしたので「リクルートエージェント」を利用し製薬会社への転職を実現させました。それが15年以上前の出来事なのですが、当時はほとんど転職サイトがありませんでした。

 

しかし現在は以前に増して転職サイトもかなり充実して参りました。国内のメジャーな転職サイトに登録しておけば安心かと思いますので、下記にいくつか医薬品卸MS向けの転職サイトをご紹介致します↓

 

●あなたにぴったりな求人オファー転職サイト側がやってくる「リクナビNEXT

リクナビNEXTの登録サイトはこちら

●外資系企業に挑戦したいなら「JACリクルートメント

JACリクルートメントの登録サイトはこちら 

●まずは自分の市場価値を見出すことが出来る転職サイト「ミイダス

ミイダスの市場価値診断サイトはこちら 

●大手・優良企業を中心に求人情報が豊富な「dodaエージェントサービス

dodaエージェントサービスの登録はこちら 

まずは2、3社登録してみてレスポンスの良いところから初めてみてはいかがでしょうか? 医薬品卸の方なら地元勤務希望の方が多いと思いますので、希望勤務地の設定もお忘れなく!

 

また2021年スズケンのリストラは対象年齢が「45歳以上」となっておりますが、44歳以下の方も油断してはいけません。

もちろんこのご時世に油断されている方などいないとは思いますが、私の周りを見渡すと特に地元の医薬品卸に勤めている方ほど「地元では大手企業だから大丈夫!」と思っている方が多いように見受けられます。

 

メディセオ・スズケンの大手医薬品卸でもリストラを断行する時代ですから地方の医薬品卸ほど厳しい現実が待ち受けていることも自覚しなくてはなりません。

 

特に若い方はまだまだ将来性もありますので、医薬品卸での総合的なスキルを活かして次を模索しておくことも重要です。44歳以下の方も転職サイトには登録しておくことをおすすめ致します。

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医薬品卸MS経験者は潰しが効く!

「医薬品卸MS経験者は製薬会社MRよりも潰しが効く」

これはMSもMRも、そして転職を経験した私が経験値から言えることです。

私の身の回りでも製薬会社のリストラをきっかけにMRから他業種への転職をされた方がいらっしゃいますが、その多くは苦労しております。

 

それはまず給料が下がったこと、そして一番は「ルートセールス」しかやったことがないことです。さらにMRは日常の自由度も他業種に比べて高いことから、コントラクトMRなどに出戻りされる方が散見されます。

 

その一方MSさんから他業種への転職はというと、ほとんどの方がうまくいってます。それはMRの「売り」だけの営業活動ではなく、売り上げの回収(集金)や流通(配達)も担っており、商社としての活動を全般的に把握されているからです。

あとは医薬品卸での朝早くから夜遅くまで仕事をして薄給、そして土日も得意先から電話がかかってくるなど、365日仕事をしている感覚だったのが、他社に転職してそれがなくなってラクになったというのもあるかもしれません。

 

ただ薄給と言っても全ての業種と比べると医薬品卸売業の給料体系と福利厚生はまだ良い方です。これは私も転職して初めて知った事実です。

 

「まだまだ他業種に比べてマシ」と思いモチベーションを高めて、今のお仕事を続けるというのも一つの手かと思います。

2021年スズケン希望退職実施!今後も医薬品卸のリストラは続くのか? まとめ

スズケンに限らず2020年のメディセオに関わらず医薬品卸も製薬会社同様にリストラ時代に突入したと言っても過言ではありません。

医薬品卸各社の決算短信を見ても、談合問題以降かなり厳しい決算内容となっております。そして2022年からも毎年の薬価改定、大型製品のジェネリック発売による売り上げ低下血、医薬品業界を取り巻く環境は益々厳しくなるでしょう。

 

メディセオ・スズケンとリストラを断行したのですから地方を本社とする医薬品卸もリストラを断行する可能性は十分に考えられます。

いざという時に「あの時ちゃんと対策しておけば良かった・・」と後悔しないためにも、上述致しました通り、転職サイトに登録して自分の市場価値を把握しておく、などの対策は講じておきましょう!

 

皆様の将来が幸せなものになりますよう、切に願っております。

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