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2020メディセオリストラで560人が応募!医薬品卸MSの2021年以降の未来を考える!

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医薬品卸の内情

2020年10月にメディパルホールディングス(メディセオ、エバルス、アトルが対象対象)が発表したリストラ。

 

2020年12月25日に応募が締め切られましたが、その希望退職者募集に3社合計で560人が応募したことが発表されました。

メディパルHD メディセオ、アトル、エバルスの希望退職者募集に560人が応募 | ニュース | ミクスOnline

 

よく医薬品卸MSからはコロナ禍で「MSは必要だけどMRはもうこれだけいらんでしょ」とよく言われました。しかし必要なのは医薬品を届ける医薬品卸という存在であってMSではありません。

今後MR同様、MSにも非常に厳しいリストラ環境が訪れるでしょう。

 

MR同様安泰ではなくなった医薬品卸MSの2021年以降の未来について前にも一度書いてますが、違う目線でMSとMRの両方を経験した私のキャリアを元に考えて参ります。

コロナ禍で2020年上半期の医薬品卸の決算はボロボロ

2020年に大規模なリストラを断行したメディセオの2020年3月期第2四半期の営業利益率はなんと0.3%でした。

その他広域卸は軒並みギリギリ営業利益プラスもしくはマイナスに転じたという結果となりました。下記は日本医薬品卸売業連合会のデータ集から抽出した日本の医薬品卸の2016年から2020年までの利益率の推移です。

2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
営 業 利 益 率 1.27% 0.83% 0.93% 1.12% 1.25%
経 常 利 益 率 1.78% 1.31% 1.39% 1.58% 1.70%

出典:https://www.jpwa.or.jp/jpwa/pdf/data_a.pdf?20201001

 

営業利益率・経常利益率ともに1%台が続いているのがお分かり頂けると思います。非常に厳しい状況です。

 

その要因は、下記の3つに要約されるかと思います。

 

①薬価改定および国の後発医薬品の使用促進、新型コロナウイルス感染拡大に伴う受診抑制など、医療用医薬品市場が縮小した影響により減収となった。

②医薬品卸各社は販管費の抑制に努めたものの、減収や卸間での価格競争激化などの影響により減益となった。

③新型コロナウイルスの感染拡大によって、メーカーから得られるはずのアローワンスが思うように獲得できず減益となった。

 

上記3点は、新型コロナウイルス感染症の継続、そして2021年以降毎年行われることになった薬価改定の影響により続くことが予測されます。

ただでさえ薄利多売な医薬品卸売業界の2021年以降の未来は決して明るいものとは言えません。

談合問題で疑心暗鬼になった医薬品卸各社は価格競争へ。利益率は益々悪くなる

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2019年11月に明るみになったJCHOの入札でメディセオ・スズケン・アルフレッサ・東邦薬品の4社により談合が発覚した事件。

のちの2020年12月に公正取引委員会がスズケン・アルフレッサ・東邦薬品の計7人を独禁法違反で刑事告発されました。

JCHO入札での医薬品卸談合 公正取引委員会が医薬品卸3社と7人を独禁法違反で刑事告発 | ニュース | ミクスOnline

この談合事件の最終結論はまだ出ておりませんが、メディセオだけがリーニエンシー(課徴金減免制度)に基づいて、最初に不正を申告したため、告発が見送られた、という事件です。

 

談合が他の医療機関でも行われていたのかは定かではありませんが、この事件をきっかけに医薬品卸各社の取った取られたの「価格競争」が勃発。

 

「自分のところの帳合がぶっ飛ぶかもしれない・・」という恐怖心を持った医薬品卸各社は自暴自棄になり「自分の帳合」を守るために価格を出し合っているとも言われております。

広域医薬品卸各社が決算発表会での減益の理由がまさにこの内容です。

 

製薬会社は価格にまで言及出来ませんし、2021年以降は毎年薬価改定があり、その都度見積を出さなければなりません。今後益々医薬品卸にとって冷戦時代が続くことが予測されます。

小林化工問題で本来の業務とはかけ離れた業務が発生。MSはやりがいがあると言えるのか?

私は新卒で地方の医薬品卸に入社しMSを経験致しました。今でもその時の同期や先輩後輩とも仲良くしている方がおりますが、MSは本当に年中多忙です。

MRのように自社製品の宣伝や疾患啓発だけが仕事ではなく、それ以外にも医療材料の提案や経営提案、売った医薬品の配送と集金(回収)もしなければなりません。

 

またどの医薬品卸も基本的には同じ商品を扱っているため、値段はもちろん、付加価値を持った情報提供をしなければ自社のシェアを上げることは出来ません。

 

MRよりも100倍は多忙なMSがMRよりも遥かに給料が安いのが、新卒当時の私にとって信じられませんでした。それに納得出来なくて全国転勤ありを容認して製薬会社MRヘ道に進んだのですが・・

 

MS当時の私は日々のおもてなしによって自分の担当しているクリニックや調剤薬局の売り上げが伸びていくことにやりがいを感じておりましたが、昨今はそうではないようです。

散々クリニックや調剤薬局に尽くしたのにも関わらず他卸の価格攻勢でブン取られてしまう、そして最近ではジェネリック医薬品を中心に自主回収が相次ぎ、しまいには小林化工の水虫治療薬に睡眠薬が混入していた問題によって、他ジェネリックメーカーの出荷停止にまで至っている事件。

 

これにより医薬品卸MSは通常業務が出来なくなり、医薬品の回収、または代替品の提案と見積作業に追われております。

 

代替品が見つからなかった場合、医療機関や調剤薬局からは「なんで見つけられないんだ。持ってこれないなら取引停止だ!」と脅されていると言います。

新型コロナウイルス感染症の拡大時でもMRは自粛していたのに、MSは毎日出社して医療機関や調剤薬局に医薬品を届け続けたのに、その甲斐虚しく価格で他卸にブン取られる。そして予期せぬ医薬品の回収によってメーカーの代わりに医療機関や調剤薬局からのとばっちりを受ける。

 

昨今の医薬品卸MSを取り巻く環境は決してやりがいを感じられる環境とは言えません。こんな状況が続けば20代30代の若いMSは辞めてしまいます。

 

コロナで変化が求められる時代に昔の体質から脱却できていない

新型コロナウイルス感染症拡大によって製薬会社の多くがテレワークへと移行。MRはデジタルやリモートへと情報提供の仕方をシフト致しました。この1年で製薬会社MRの働き方は大きく変わったと言えます。

一方の医薬品卸は医薬品を安定的に医療機関や調剤薬局に届ける社会的任務があるため、普段配送をしないMSも配送を行っており、MRとは違って医療機関や調剤薬局へ行かないということは出来ない職種です。

 

新型コロナウイルス感染症拡大によって製薬会社の働き方がドラスティックに変わる中、医薬品卸は古い体質のままという事実は否定出来ません。

製薬会社各社が進めているデジタルトランスフォーメーションへの取組も遅れているところが多いと言えます。

 

そんな中、最近MSが媒介となってMRとリモート同行してそれに対する対価(アローワンス)を払うというのが流行っているそうです。

 

MSはMR以上に新型コロナウイルス感染症のリスクに晒されていることになりますので、この取組については不安を抱えているMSは多くいらっしゃることでしょう。

ただ医薬品卸も従来通りのやり方ではメーカーからのアローワンスを獲得することは出来ません。

 

今後は製薬会社同様にデジタルトランスフォーメーションを加速させ、自社システムを充実させて製薬会社MRでは取ってこれない情報を収集して発信するなどのシステム構築が重要かと考えます。

医薬品卸MSは何でも出来る。なので幅広い業種への転職が可能

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医薬品卸MSのやりがいが従来の仕事内容からかけ離れてきている昨今、若いうちから転職を視野に入れている20代30代のMSは多くいらっしゃるのではないでしょうか。

現在製薬会社MRの転職は氷河期です。MRからMRへの転職はほぼ枠がないというのが現状です。

 

逆に医薬品卸MSは、他社MSに転職という方はほとんどおらず、他業種営業職へ転職される方が多くいらっしゃいます。

 

その多くは医療機器メーカーや保険の営業、最近ではMS(マーケティングスペシャリスト)の経験と人脈を生かして病院の事務長や、調剤薬局グループの価格交渉係などに転職される方を見かけます。

当ブログでも再三申し上げておりますが、MSはMRに比べてはるかに潰しが効きます。

 

その理由はMRに比べてはるかに仕事の幅が広いことと、医療機関や調剤薬局からの無理難題な依頼とクレームにも耐えうる精神力や体力がMRよりも格段に高いからです。

 

特に仕事の幅の広さからいうとMSは100社以上の製薬会社の薬の販売から見積作業そして配達と回収と、営業としての一連のスキルを習得しております。流通業としての一連のスキルを全て習得しているのです。

これは転職の際に大きな武器になります。そしてMSの精神力はどこに行っても通用します。MSの得意先から受けるクレームや無理難題はほぼ毎日と言って良いでしょう。

 

平日は朝から晩まで、休日まで得意先から電話が鳴り、配送のミスで突然得意先の売り上げがぶっ飛ぶなんてのはザラです。並大抵の精神力を持ち合わせていないとできる仕事ではありません。

 

医薬品卸MSの方は自信を持って転職を考えても良いと思います。営業・流通スキルから精神力までどこでも通用します。ただ転職の際には早めの決断が必要です。専門職のMRとは違い、ある程度の年齢でないと転職は難しいと言えます。

特に今回のメディセオの早期退職の条件である45歳以上となると、他業種への転職はよっぽど特異的なキャリアを持ち合わせていない限り、厳しいでしょう。

 

上記でご紹介した医薬品卸営業利益率のここ数年の推移とを見る限り、今後安泰とは言えません。コロナの影響が長引く限り、むしろ製薬業界以上に厳しい状況となるでしょう。

 

新型コロナウイルス感染症収束が見えない中、不安定な転職状況ではありますが、まだまだ将来有望な20代30代の方はお早めに決断されることをおすすめ致します。

では、転職に際し一番初めに始めることは「転職サイト・エージェントに登録する」ことです。今の転職サイトは非常に充実していて自分の市場価値分析から履歴書や職務経歴書の作成まで出来てしまいます。

 

ただ転職サイトによって得意な分野や持っている求人の多さが違います。複数社登録して多方面から自分のキャリアや方向性を評価してもらうのが良いでしょう。

私はMSからMRに転職した際、最終的に現在のリクルートエージェント(過去はリクナビエイブリック)を活用させて頂きました。

 

「メジャーな転職サイト=求人数多い」ということになりますので、下記転職サイト・エージェントへの登録が無難かと思います。

 

●誰しもが知る「リクルートエージェント

リクルートエージェントの登録はこちら 

●あなたにぴったりな求人オファー転職サイト側がやってくる「リクナビNEXT

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●外資系企業に挑戦したいなら「JACリクルートメント

JACリクルートメントの登録サイトはこちら 

●まずは自分の市場価値を見出すことが出来る転職サイト「ミイダス

ミイダスの市場価値診断サイトはこちら 

●20代30代の求人に強い「マイナビエージェント

マイナビエージェントの登録はこちら

まずは2、3社登録してみてレスポンスの良いところから初めてみてはいかがでしょうか? 希望勤務地の設定もお忘れなく!

医薬品卸はスペシャリティ・オンコロジーメーカーに選ばれるための工夫を!

これも当ブログで再三申し上げている内容です。製薬会社各社は生活習慣病薬から希少疾患治療薬などのスペシャリティ領域や抗がん剤などのオンコロジー領域へとシフトしてきております。

またスペシャリティ領域やオンコロジー領域は薬剤の保存方法などが特殊な製品も多く、製薬会社各社は取引卸を1社に限定する「1社流通」を行うところが増えてきております。

 

もちろん「1社流通」に選ばれるためには他の卸にはない独自の保管システムを保有する必要もありますが、普段から選ばれるための謙虚な姿勢を示すことも大事です。

 

特に最近は2019年4月のノボノルディスクファーマに始まり、2021年4月からはグラクソスミスクラインが取引卸の絞り込みを行います。

取引卸絞り込みの背景には様々な憶測があります。医療機関に納入する価格が安いとかメーカーに対する普段接する態度が悪いとか色々ありますが・・

 

ただ一つ言えることは、特殊な保存方法の薬剤以外は製薬会社に選ばれるための基準があることです。それが普段からの真摯な態度かと思います。

 

私が医薬品卸MSの時から現在まで、医薬品卸のMSやお偉いさんにはメーカーに横柄な態度の方がまだまだ多く存在致します。

上述したと通り談合事件以降、医薬品卸間での競争が激化しております。それはメーカーにとっては薬価が下がります収益を悪化することを意味することであって、これ以上価格が下落することは好ましくありません。

 

なので今後は価格競争が発生しないようにスペシャリティやオンコロジー領域の新薬の「1社流通」は主流となり、ノボノルディスクファーマやグラクソスミスクラインのように途中から取引卸を絞り込むことも起こります。

 

「選ばれる卸」になるためには普段からメーカーに対する態度を改めるべきです。メーカーにとって安定的な価格、そして素直で謙虚な姿勢を示すことがメーカーに「選ばれる卸」になるためには必要な要素です。

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2020メディセオリストラで560人が応募!医薬品卸MSの2021年以降の未来を考える!まとめ

製薬会社MR同様、医薬品卸MSにも厳しい時代となりそうです。どちらにしても医薬品業界の先行きは明るくありません。

ただ医薬品は医療関係者と国民にとって必需品であり、必要な方に必要な時に確実に薬剤を届けるという行為は社会的使命と言えます。

 

MRとして自分が紹介した薬剤が使われてその患者さんが良くなった、またMSとしては困っている時に薬剤を届けられてた・提案出来た時のやりがいは、忘れることの出来ない社会的使命を果たした瞬間とも言えます。

ただやりがいを感じていても急なリストラに対応出来なければ、社会的使命を果たしている意味がありません。

 

もはや「俺は大丈夫」ということはありません。いざという時のための備えを常にしておくように心がけましょう。備えについては当ブログで様々な視点から書いてますので、ぜひご覧ください。

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